他の仕事にも応用できる
いかがですか? コンビニで使われている心理効果のほんの幾つかの例だけでもこれだけあるのです。
こういった詳しい理由をまったく知らず、ただ漠然とマニュアル通りに行っているに過ぎないコンビニの経営者やアルバイトも多いのかも知れないですね(笑)。
先にも少し触れましたが、こういった知識が広く広まってしまえば抑止の効果が薄れます。また「お前の店はお客様を泥棒扱いにするのか!」と大騒ぎされても困りますので詳しい説明はありません。
入店時に「お客様には一人残らず誰でも挨拶しなさい」とは書きますが、それについての詳しい理由とか背景は教えないものです。
アルバイトにそういった知識は無駄なものですから・・・。
実際には強盗とか万引きの抑止だったり。日本人か外国人かも反応で解ったりがあります。具体的に防犯とか売り上げの増加に繋がる技術や知識はたくさんあるんですよ。
もちろん、スーパーや百貨店などでも様々に心理効果を取り入れ、何年も前から当たり前のように行われている方法もあることになります。心理効果と呼ばれるものは宣伝広告やチラシ、インターネットのホームページや動画(CM)などにも当然、たくさん含まれています。
商品販売に関わっていたり、流行と呼ばれる文化を形成している人達でマーケティングや群集心理、心理効果を狙った色彩や配置についてまったく興味がない、という人はいるはずがありませんよ。
アメリカなどでは選挙戦も心理戦の応酬です。着てゆくスーツとかネクタイまで相手陣営を調べてから決めるようで、双方とも専門家を雇って腹の探り合いをやってますね(笑)。年々巧妙で激しくなっておりSNSやTwitter、有名ブロガーまでを抱き込んでの大騒動になっています。
商店主とか起業を考える若い方、父親の跡を次いで二代目になろうと考える人なども、できればその辺りについてはよく調べて知っておくべきですね。知っているのと知らないのとでは結果が大きく異なってきますから・・・。
私は講演会などでは、そういった話を中心に話を進めています。
どこかの催眠の大先生のように、決まりきった催眠の話ばかりやったり実演だけ強調して繰返しやっているのではありません(笑)。私個人としてはむしろ、そういった部分は控えめにしたいと願っています。
催眠「術」は確かにインパクトはあるのですが。それだけしか出来ないとか他の心理学のテクニックが価値がないとか利用方法がないと思われるのも嫌な感じがしますので。
同業者やお客さんに知られたくないと思っていますから、心理効果を全面には押し出さないものの、その効果を積極的に取り入れている店鋪や企業は意外に多いのです。
一般のストアが同じように24時間営業にしたにも関わらず、結局、大手コンビニに対抗できなかったのは資金量とか商品流通のシステムを握っていることにも一因はあったのかもしれません。
ですが、そればかりではなく「心理効果」などのノウハウを持たなかったことも私は大きな原因だと考えています。少なくとも同じ程度のノウハウを持っていれば、それらの幾つかは生き残ったでしょう。
薄暗くて見えにくい店内。乱雑に置かれた商品や確認しにくい陳列棚。お客さんが入ってきても挨拶もなければ、おすすめ商品が何かもわからない。鏡やガラスは少なく天井が低かったり歩きにくい通路。そういった致命的な欠陥を持つ店舗が、営業時間を延長するだけでは難しいと思います。
現在、売り上げに悩んでいる店鋪やこれから何かのフランチャイズに参加しようと考えたり、自分で何かの仕事を起業しよう、と考える人などはそういった部分もよく考えた上で挑戦して下さい。
立地条件がいいのに、売り上げが伸び悩む場合には構造上や心理学上に問題がある可能性もあります。
ここで解説したコンビニなどの知識は、他の仕事でも応用可能ですよ。
価値とか意味を理解してから手を出して
何の仕事においても、私はあまり売り上げで悩んだことがありません。たぶん、心理効果を十分に狙って「根回しをして」から売り上げを作るからでしょう。
それには人には教えない方法も含まれます。
もちろん催眠を使って周囲を操っている訳ではありませんけどね(笑)。
あちこちで色々な仕事に携わって大きなお金を動かす人々とは何人もお会いしてきました。年商数十億円から最大、数百億円くらいの規模の会社なら何度かお付き合いがあったことはあります。
残念ですがすでに倒産したとか失脚した、トラブルになっていなくなった人も大勢います。
実業界の帝王とまで呼ばれた方もいたんですけどね。ここでお名前を出すのは支障がありますので伏せますが、知れば皆さん驚くと思います。
そこには当時、「絶対に失脚することなどない」と思われていた人も含みます。
商売が失敗する人の多くは「性格」の問題です。個人の性格が商売や仕事に影響するんですよ。強引に物事を進め過ぎる、しっかりした経営者だったのに「親族」(特に息子)には甘くて経営判断を誤る、女性に手を出してスキャンダルが発覚、派閥争いに破れるなどもあります。
本業では堅調だったのに、サイドビジネスとか変な宗教に入れ揚げて全てを失う例も見ています。
ですから、そういった部分までを含めるとこれも心理学の範疇かもしれませんね(笑)。
心理学の知識とかマーケティングの知識、技術は確かに素晴らしい効果を発揮することがあります。それは長年、こういった仕事に携わった私自身がもっとも実感しています。
ただし、その価値を理解できない人には何の意味もありません。
先にも少し触れましたが、わざわざアルバイト店員のマニュアルに「挨拶が万引きや強盗の防止になる」とは書かないものなのです。
大切な部分とか流出して困る部分は伏せるんですよ。書きたくたって書けないことや、わざと伏せる部分だってある。知識とか技術とか経験は「誰しもが簡単に共有できる」ものではないんです。
ネットが全盛の時代ですが(笑)。今もコンビニマニュアルの全文は流出していないでしょう? 私のこのホームページは膨大な量の情報とか文章が載せられています。
それにしたって私からすれば一部ですよ? 商売の肝、自分にとって本当に重要な部分を。誰でも簡単に覗ける無料のホームページに公開していると思いますか?
あなたが逆の立場でも同じでしょう。自分のお金儲けとか商売、家族や友人のために用います。そこの部分をタダで教えろとかケチケチすんなって言ってくる人がいたら。あなたならどうしますか?
インターネットはね。何でも載ってる何でも検索できるように錯覚しますが(笑)。反対に言うと「大切なことや肝心な部分は」何も載っていないことも多いのです。
個人の性格とか嗜好も商売に影響する
経営者だったり、管理職や「上」を目指すなら誰かが伏せているものとか、企業や商売敵が隠している部分も調べて多少は知っておいた方がいいですよ。
特に催眠とか心理学、商売とか経営に興味のある若い人であるならば尚更ですね(笑)。
コンビニにおける挨拶の例にしても、中途半端にマニュアルを聞き齧ったり読んだ程度の人は「たかが挨拶」にそういった深い意味があるとは考えていません。
ですので、面倒になっていつしか端折る(はしょる、省略する)ようになります。深く考えることもそれに潜められた意味についても考えることはなく「この程度はいいだろ」と何となく思うのです。
これが「性格」です(笑)。要するに手抜き。
こういう人にはマーケティング、心理効果を説明しても意味を理解できない。
これはバイトならまあ仕方ないですよ。正確な意味など教えてもらっていませんから・・・。まさか挨拶で万引きが減ったり、強盗を撃退したり予防する効果があるとは習っていません。
ですので「それをいつもきちんと行わないと」とは思わないものです。
実際にはそういったことをきちんと繰り返すことで、下見に来た強盗犯が別の店舗にターゲットを変えたり、変な若者が出入り口にたむろしたりが減ったりもするのですが・・・。私は最初は知人の警察官に実情を教えてもらいました。
これも心理学の知識の一つですが、若者がたむろする場所にモスキート音を流している経営者や施設もありますよ? モスキート音とはある年代にだけ聞こえる不快な音のようなものです。
アパートの駐車場やコンビニの前に若い連中が溜まるようになって住人が出ていったりお客さんが減ったので。モスキート音を定期的に流して撃退するということを実践したケースもあります。
心理学者には以前からよく知られた手法だったのですが。近年になって日本でもテレビ番組が紹介したためにバレました(笑)。「私のように」黙って使ってた人はいるわけです。
「モスキート」は、深夜に店の前などにたむろする若者たちに不快音を聞かせて退散させるために、2005年にイギリス・ウェールズのハワード・ステープルトンによって開発された。
もっとも、詳しいシステムを説明しても理解できない方もいます。
困ったことに、そういった人にも複数お会いしています。面白い情報とか特殊な技術が持ち込まれても、理解できないとか「ただの偶然だ」と言い張る経営者も、日本には意外なくらいに多いですよ?
「店の灯りを明るくしたり、ショーケースを赤くしただけで売り上げが伸びるわけがない」とかね。「そんな音を流しただけで若者がたむろするのが止まるわけがない」とかね。
現実にお弁当屋チェーンなどは自社のマニュアルを見直し、天井灯の本数を増やしたりしてるんですけどね(笑)。店内が暗いと言うだけで顧客が他の店舗に逃げることを避けるためでしょう。
設備代、電気代と引き換えにしても価値があると判断したためです。
無能な経営者や上司だと心理学の範疇だけにとどまりません。部下とか得意先、知人や友人、スタッフから貴重な意見とか面白いアイディア、興味深いデータがあがってきても自分が気に入らない、理解できないというだけで無視したりもします。
どんな優れた手法とか技術、知識や経験でも、運用するのはただの人間です。その人間が中間で作為を挟んでしまったり、内容を理解できないで歪めてしまうようでは正しい利用はできません。