コンビニは心理学の宝庫です

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心理学の知識は様々な形で利用

真っ暗闇の中で明かりが見える「集光効果」

月と星 アイコン夜、暗い夜道を歩いているとします。すると前のほうに明るい何かがあります。

見るとコンビニが営業しており、歩いている人は、なぜだかそこにフラフラっと吸い込まれるようになります。

これはですね、人間が暗い夜道を歩いていると不安感が増大される傾向があるからです。ある一定の明るさのある場所を発見すると安心するので、ついつい、そちらに引き付けられたりします。

コンビニがどのチェーン店でも同様に「明るい」のは集光効果なども狙って、ルクス(明るさを示す単位)を厳密に決めてあるからです。

ですから蛍光灯の設置の位置や本数まで決められています。

今ならLEDですね。コンビニの場合はメンテナンスの費用や人員の確保が大変です。本部の人間が店舗の確認に来た際に蛍光灯の一本でも切れてると大変ですよ。管理が行き届いていないとして指導の対象になったようですから・・・。

LEDになって導入時の初期投資は多くかかりますが、ショーケースや天井の蛍光灯切れは激減しています。以前はバックヤードに蛍光灯が保管されてました。24時間営業ですといつ切れるかわからない。営業時間中に買いに走るわけにもいかないので、そういった備えも必要だったのです。

後になってその知識を得た某弁当チェーンが、同じ効果を狙っていますね(笑)。フランチャイズ本部からの指導で入り口を広げ、天井灯を大きく増やしています。

電気代がかかるから「蛍光灯の本数は少なめに!」と言っていた時代もあるんですよ? 深夜営業をやってた個人商店でも蛍光灯の本数を抜いてる所がありました。

現代人からすれば、コンビニはいつでもそこで営業しているという安心感があります。行けば誰かが必ずそこにはいるのです。その上に夜間であれば「中が明るい」という安心感がプラスされます。

大変興味深いんですが。深夜に人が集まったり安心するのは集光効果といって、昔から伝わる心理効果の一つでもあります。虫が光に集まるのは単に紫外線に影響を受ける習性ですが、人間の場合は心理的な不安を解消するために光を求めます。

昔はね「キツネに化かされた」とよく言ったんですよ。

昔話でよくあるのは、道に迷った旅人が暗い夜道を延々と歩いていると山道の向うのほうに明かりが見えます。ポツンと遠くにみえているその明かりを目指して懸命に歩いて苦労して辿り着くのです。

行って見ると人家があり、そこの住人に一夜の宿を頼みます。

「ヤレヤレ助かった」と思って一晩を過ごし、朝、目が覚めるとそこが廃虚であったり、無人の家であったるするパターンですね。

中にはタヌキと朝までどんちゃん騒ぎしていたとか、美女に誘われた鬼婆に殺されそうになった、などの幾つかのバリエーションがあります。

暗い夜道を歩き、単調な道筋を歩いていると無意識のうちに不安感が増大してしまいます。それが長時間に及ぶと精神に変調を来します。そういった時に明るい光を見るとフラフラっと無条件にそちらに近付いてしまい、安心するのです。

そこで何か話しかけられたら? それは効果が絶大かな? と催眠術師としては思ったり。

長時間に渡って、真っ暗で単調な道を歩いていると不安感から軽いトランス(催眠)状態になる場合があります。実際に体験していないのではっきりとは断言できませんが、道を歩いていた先人達は星明かりや月明かり、「狐火」や蛍か何かで幻覚を見たのかもしれませんね。

コンビニの話からはちょっと逸れましたが、人が集光効果で「光のある場所」に吸い寄せられる所までは同じです。どんなに照明器具やLEDが発達しても今も昔も人間には違いないので。

昔話では、そこに悪人や恐い「山姥」がいたり、旅人が騙されるパターンになるのです。

ファミレスでもコンビニでも使っている「窓際での集客効果」

Parking 駐車場 アイコンまた、どのフランチャイズでも道ぞいに面した壁をわざわざガラスに取り替え、雑誌やマンガなどを配置しているのにも理由があります。

コンビニに売り上げにおいて、もっとも売り上げが大きいのは、お昼時と夜(夕方から11時前後にかけて)になるのです。

雑誌の立ち読みなどで人が「立っている」とそれは外からでも見えます。つまり、流行っている店であるという印象を与えると同時に、特に夜などは「人が中にいる」ことが見えることで人を安心させる効果があることになりますね。

壁をガラスに取り替え、誰かがいることを外から見せる。その上で雑誌を読むように配置してあるのは、それが通りがかった人から中が見えることを意識して作られています。

「中にお客さんがいる」ことが心理的な効果を与えるのです。いわば、「立ち読みするような客」も、お店の看板にしてしまっているのですね。ガラスを多用すれば店舗を広くもみせられます。

まあ近年はスマホや携帯カメラが発展し過ぎまして。いわゆるデジタル万引きというものが問題化しました。立ち読みをするお客さんも宣伝効果や集客効果に用いて店を流行らせたい所なんですが・・・。

立ち読みだけではなくスマホで最新作を写メして帰る客が増えたので。売り上げが伸び悩んでしまい出版社が対策を講じるようになりました。コンビニとしては立ち読み客も歓迎したい所なんでしょうが、漫画や雑誌にラップやヒモをかけて中が開けられなくなっています。

強盗予防のためだけに、壁の一面をガラスにしているのではないのですよ(笑)。むしろ当初は集客効果や安心感を求めて、そういった構造になっています。

残念ながら個人営業のお店では、そのようなことまでは考えが回りません。

これはファミリーレストランやラーメン店などでも時々、用いられる方法です。窓際に先にお客を配置することで、流行っている店だという先入観を「これから入店しようとする客」に外から眺めさせて与える効果が期待できるのです。

通りに面した外壁をわざわざ掃除の手間がかかって費用の高い1枚ガラスなどを用いるのはそれなりに理由があるんですよ。

知らない個人のお店なら普通の壁にします。ガラスを用いないならば工費は大幅に削減出来ますから。昔の個人商店は窓がなくて真っ暗でした。電気代を惜しんで蛍光灯を外したり、置き引きとか強盗を恐れるから外から見えない構造にして壁も厚くなっています。

外壁を全部、ガラス張りにするってことは。中の様子が丸見えですからね。個人商店だと衆人環視になりますし、ご近所さんとか常連さんにも中で働いている姿が見えます。

疲れるんですよ。地域密着型の店舗ですから外からは見えないようにしたい。グリーンとか赤の屋根にはめ殺しの小さな窓、いわゆる喫茶店と同じような作りの商店が昔から多かったと思います。

それに個人商店は「夜は店を閉める」のです。一階が店舗で二階が住居というケースがあります。コンビニのように最初から24時間営業を目指して設計されたわけではありません。夜中に外から見えると窓ガラスを割られて現金や商品を盗まれますよ?

住宅を兼ねていますので、コンビニの発想とは真逆の構造となります。

一般店、つまり「24時間営業にすれば客が入る!」とだけ考えて営業を行っていたお店や商店が結局は淘汰(とうた)されて、現在のようなフランチャイズのシステムだけが勝ち残ってきた背景には、そういった「心理効果」を効率良く取り入れてきた背景があります。

他にも様々な工夫がコンビニにはあります

流通のルートや商品の確保や保管、補充のシステムだけではなく、心理学の効果を含めた店鋪の設置や店員の応対、それらを全て含めたマニュアルを海外から持ち帰り、日本に合わせて整備、システム化した人達がいたんですよ。

参加する店鋪の数が多くなったことでフランチャイズ加入料などから費用をねん出し、大規模なテレビCM等も可能になりました。それが更に結果を分けることに繋がります。

時間延長だけで対抗していた個人営業のストアでは太刀打ちできませんね。仕入れをまとめて広告を打つようになってコンビニが軌道に乗った時点で独自の商品開発などにも着手しています。現在ではコンビニにしか売っていないスィーツとか限定商品が数多く存在します。

コンビニにはまだまだ、他にも心理効果を狙った物が沢山あります。飾り棚(商品陳列)なども、下に行くほど前に張り出し、角度は緩やかになっています。

これは上から見下ろした際に商品が見やすくなるので、購買意欲をそそる効果を狙っています。同じ角度で棚を作ると下の商品の販売は鈍化し、下手をすればまったく売れなくなるのです。

いわゆるデットストックになってしまうのでスペースが無駄になります。コンビニは商品の入れ換えが激しく、たった数日から数週間で取り扱い停止になる例もあります。

普通の個人商店では棚は「商品を仕舞う」イメージがありますが、コンビニでは「見せる」ために使用されています。なので棚の奥行きは驚くほど浅いです。その浅い棚に納まるようにメーカーと共同開発でパッケージを短くしたり、コンビニ用のサイズの商品を収納してあります。

残りの品物は棚ではなくバックヤードか追加搬入で賄います。棚を浅くすることで陳列スペースを広げ一列多く配置します。そうすることで更に多くの品物を公開することが出来ます。

レジを待つ間にも一工夫されています。レジの周辺には甘い物や特価品、ガムや飴などを並べる店鋪も多いです。支払いの待ち時間に何かの商品手に取ってもらおうという作戦です。

金額的には些細なものに思えるかもしれないですが、メーカーとか全体でみれば相当な数字です。飲料品もレジ周りで新商品の販促キャンペーンをやったりします。

私がコンビニにおける心理効果を調べるうちにもっとも驚いたのは、来店時に行われる店員の「いらっしゃいませ」という声のかけ方です。

ただ単に入店してもらったお客さまに感謝の気持ちでお礼を言っているのだ、と思っている人も多いと思いますが、実際にはそうではありません。

入ってきた際に「いらっしゃいませ!」といわれると「店員に注目されている」といった効果を生みます。誰かに注目されていることを意識させることになるのです。するとね、万引きや強盗などの犯罪の発生率が顕著に減少することが実験により報告されているのです。

これはマンションなどにおける防犯指導でも行われています。警察署の指導などでも常識ですが、マンションやコミュニティ住人が見ず知らずの人(侵入者)へ「どちらの方ですか?」「どこのお家の方ですか?」などと質問したり挨拶すると犯罪の抑止、予防に繋がるんですよ。

壁のあちこちに鏡が貼ってあるのもコンビニの特徴です。壁面の棚や冷蔵庫はわざわざステンレスタイプや鏡面仕上げにしてあります。あれは店舗内を広くみせる効果もありますが、死角を減らして万引きを防止しているのです。