1974年にカナダで行われた実験で、吊り橋効果
モテる男になりたい、とか男性にモテたい、と望んでYahoo!やGoogleで検索をかけて私のサイトにたどり着く人がいます。具体的な方法を求めて、心理学や催眠の知識から何かが応用できないか? との期待もあるのでしょうね。
せっかく訪ねてくださっているので一部、ヒントというか過去の実験を例にあげましょう。どういった行動パターンやデートコースが恋愛に「効果」があるのかを解説したいと思います。
1947年にカナダの心理学者、ダットンとアロンによって行われた実験があります。
正確には「生理・認知説の吊り橋実験」として知られているものです。割とメジャーなタイプの実験で心理学を齧ったことのある人なら一度は聞いたことがあるかも知れませんね。映画「スピード」においても、途中で解説が出てきます。
スピードを落とすと爆発する爆弾を仕掛けられて止まることのできなくなったバスの中で、若い男女が恋愛関係になるのですが、ヒロインの女性が心理学について学んでいて詳しいために「極限状態、一時的な緊張状態での恋愛は長続きしないわ」といったセリフが複数回出てくるのです。
吊り橋理論そのものはオカルトでも何でもなく、科学的に実証されています。
吊り橋実験の追証も各国で行われており、日本のテレビ番組などでも実験は行われて複数回紹介されています。ですので、極限状況とか危険な状態で「恋愛に」効果というか影響があることまでは否定できない事実であると思われます。
実験の詳細、内容
実は、ですね・・・。この吊り橋実験というのは「男性に対して」行われた実験なんですよ(笑)。
男性の方は心(こころ)して聞いてください。初期の実験は女性に対して行われた実験ではないのです。
ですので、ネットとか漫画とかアニメでよく行われている「吊り橋効果」の引用が。そのまま女性に当てはまるかどうかは微妙ですよ?
一般の方にもわかりやすく解説すると、男性に対する「生理」の証明で、極限状態や危機状態において男性のホルモンバランスが「どう変化するか?」を観察、測定したものであって。それがそのまま女性に当て嵌まるとは限らないことを理解してください。
また当初は「男性のホルモンのバランス」を観察するためですので。若い男性が対象となってます。
実験は18歳から35歳までの男性を集めて行われています。渓谷にかかる二本の橋があります。一方は不安定で揺れる橋、もう一方は安定していて殆ど揺れない橋を用いています。
男性が橋を渡っていると橋の中央で待ち受けた若い女性から「いきなりアンケート」を受けます。女性は実験結果に興味があるなら後で電話をください」と言って電話番号を教えます。
揺れる橋を渡った男性からはほぼ全員から電話連絡があったのに対し、しっかりした「揺れない橋」を渡った対象者からは一割程度しかレスポンスが無かった、という結果が得られました。
各国で追加証明実験は行われていますが、男性が不安定な要素、つまり危険な状況とか極限状況に追い込まれたほうが影響を受けやすいようで、恋愛関係が成立しやすいと言えます。
戦国時代の記述にも興味深いものはある
私は古い文献とか資料もかなり読みます。興味深いのは戦国時代の記述ですね。
戦国時代は死がすぐ隣にあります。まあ中世ヨーロッパとか西欧諸国もそんなに変わらないのですが、獲れる作物とか食料に限りがあったため飢饉や疫病による影響を受けやすく、生き残るために領国に攻め入るとか領地拡大のために戦争を行うのが当たり前だった時代があるのです。
出世しようと思えば戦争に参加する、つまり兵士になることが早道だったり、そういったシステム(徴兵)に応じないと国から罰せられたり搾取されて殺される側になってしまうため、戦闘に参加します。
農民もしたたかなもので半民半兵状態です。武器を持って戦いに出る若者もいます。ですから戦闘中に死亡した兵士の武装や衣服を剥ぎに来たり、武器を集めて売ることを生業(なりわい)にする者もいます。
興味深いのは戦死した兵士の多くが「陰茎」(いわゆる生殖器)が勃起していた、との記述があるんですよ。衣服を剥いだり、武装を解除して売ろうとした時にそういった光景が多数目撃されています。
同種の記述は世界各地で発見されますし、日中戦争や太平洋戦争でも見受けられます。これは何も人間に限られたことではなく、他の動物でも時折あることですよ。
男性(オス)は種族としての生き残りをかけて、戦いに挑みます。家族やコミュニティ、種としての生存のために外敵に立ち向かおうとするのです。これはライオンなどでも同じ。
アザラシやライオン、猿などはハーレムを作って強いオスがメスを独り占めにするような行為が見受けられますが、それはそのまま種の存続、「強いオスの遺伝子」を後世に残そうという本能にも根ざすものだからです。生物、種族としての「未来への本能が」強い性衝動を生みます。
一夫一妻(いっぷいっさい)制を保っていると種としては繁殖力が劣ります。狼などがそれに近かったと言われていますが、どうしても他の種よりは種としての拡大が遅くなるため、他の上位種(狼の場合は人間)に駆逐されてしまうようなことも起こるわけです。
まあその後の追証実験とか女性へのアンケートでも男性に似た結果は得られているようですが。女性も生命の危険が迫ると性器が濡れることは知られています。稀に強姦事件で女性が濡れていたから感じていたんだ、合意の上だと言い張る頭の悪い男がいるようですが・・・。
それは単なる生理反応です。すでに検証ではっきりしていますので、裁判で有利になったりはしません。むしろそう言い張ることで検察や裁判官の心証を悪くして刑が重くなるでしょう。
危険と興奮が紙一重なのは男性も女性も同じ生理機能でホルモンの分泌が起こるからですよ。
おそらくはホルモンの分泌
話が若干、逸れましたので元に戻します。
オス(男)が外敵と戦うためにホルモンを分泌します。ノル・アドレナリンとかドーパミンと言われる強烈なホルモンを大量分泌して怖さを打ち消し、外敵と向き合わねば心が折れてしまうので。
おそらくは「死」の瞬間までそれは出続けているでしょう。近年になってCyclic GMP(環状グアノーシン酸)が勃起には関わっているとされるようになってきましたが、それらともドーパミン、セルトニンの分泌は密接に関わっています。
大量に分泌することで恐怖心を打ち消し、敵に向うわけですね。
最近は草食系男子、なんて言葉もありますが、外敵に襲われて殺されそうな現状が増えれば自然に「肉食系男子」が復活してくると思いますよ。平和な時代の象徴です。
大量のホルモンを分泌する。そのまま戦闘中に死んでしまうと、陰茎は勃起したままになるでしょう。言い換えるならばそれは、雄々しく戦ったという証明です。
負け犬というか尻尾を股に挟んで逃げ回るような弱い犬であるなら、ドーパミンの分泌も行われないでしょう。死の瞬間まで家族やコミュニティを守ろうと戦った「勇敢なオス」だからそうなるのであって、そうでない者の「チンチン」は萎れて小さくなったまま死んでいるでしょう。
いわゆる「吊り橋実験の結果」というのはですね・・・。男(人間という種)の、太古の名残りなんですよ。
どんなにナヨナヨして頼りない男でも男として生まれた以上は種としての機能が備わっています。オチンチンがついているからこそ「オス」なんですよ。それが付いている限り、種としての制限も受けます。
種として弱い男、そもそも戦う意思とか守る意思を持たないものは吊り橋を渡ろうとしませんよ(笑)。実験に参加できないのです。「怖いから嫌だ!」といって橋のたもとでいつまでもグズグズとうずくまるでしょう。
危険な状況下において「性衝動」が高まるのは、死が身近にあるからです。
シャケなどの回遊して戻ってくる魚もそうだと言われていますが、危険が高まるから性衝動も高まるのです。種としての絶滅が関わってきますから・・・。メスは無数の卵を抱えていたり、出産で複数回子孫を残すことができますが、オスは戦闘中に死んでしまうとそれっきりです。
死ねば自分の「種としての記憶」は潰える(ついえる)のです。それでは次世代に残れません。死の危険が近づくと自動的に「どこかで自分の子孫を残そう」というスイッチが入ることになります。
イスラムにおける一夫多妻の意味
イスラムでは今も一夫多妻制をとっている国が結構あります。
一夫一妻(いっぷいっさい)制度や指輪の交換を制度化したのはローマだと言われていますが、これにも事情があります。ローマは軍事国家として強大な力を所有していましたが、兵士の多くは出稼ぎだったんですよ。
今で言うなら単身赴任です。遠い地域に戦闘で出かける必要があって、お手当ては家族に支払われます。
ですので、貧民層ほど出征を嫌がったのです。家族と一緒には暮らせませんので・・・。運悪く戦地でそのまま死んでしまうことだってあります。
自分が出ていった後に自分の彼女を他の男に盗られる可能性もある。それに家族や恋人が外敵に襲われた時にすぐにはもどれないでしょ? 嫌がる兵士に「お前達は夫婦なんだ」「指輪を交わして契約を結んだんだ」で安心させる効果があったと言われています。
万が一、夫に何かあった場合にも「国が責任を持って面倒をもつ」夫婦としての制度を整えることで強大な軍事国家としての礎(いしずえ)を築きます。
そのシステムの構築のためにキリスト教の概念や「指輪の契約」一夫一妻も用いられています。
イスラム圏の考え方は反対です。イスラムが一夫多妻を導入した背景には戦闘による未亡人や、稼ぎ頭を失った家族への支援やケアの意味合いがあります。
大勢の男が戦地で散っていきます。ローマのような国としての中央集権制度を持たなかったイスラム諸国は「村」とか「集落ごと」で女性を守ろうとしたんですよ。古くはスルタンやカリフといった王や預言者に支配されていた地域ではローマとはまた異なった慣習や価値観、宗教観が存在していました。
お金がある者は複数の妻を持つことが出来る、というのは言葉を返せば金持ちは「複数の扶養責任を持つべきだ」とコミュニティや集落に求められるということにもなります。
現代社会のようにお金もになれば「無条件に好きな女を囲える(愛人)。と思い込むのとは意味合いが異なります。一夫多妻にしても一定の条件が定められており、結構、厳しかったりもします。
全員を平等に愛せよ、とかね。同じ女性(例えば第三夫人)の家だけに入り浸るなとか、一人に家をプレゼントをするなら全員に同じように家をプレゼントをしろとかですね。離婚するなら多額の慰謝料や賠償を求められますし、離婚する妻の親族が黙っていないシステムになっています。
要するに、どちらも家族とかコミュニティを守るため、狼のように「種としての絶滅」を防ぐために用いられた規則であり決めごとであり、システムだった訳ですね。
デートに誘うなら吊り橋でなくても
以上を踏まえて、女性が男性をデートに誘うならどこになるでしょう? 考えてみてください。
定番として考えるなら遊園地ですね(笑)。
女性のほうが恐怖系のアトラクションには強いです。お化け屋敷とか落下系の乗り物には乗りたがらない男性も多い。疑似的な危険体験を行う場所で「キャー、怖い!」といってしがみつく(パーソナルスペースを参照)ことが、男性の心理に多大な影響を与える可能性があります。
た・だ・し、注意点もあります。
上記したような理由で「危機意識が高まる」と、男性の場合には「性衝動も」高まるのです。
急に肉体関係を迫られる、なんてこともありえますよ(笑)。相手が好きで「望むところよ!」って女性はそれで結構ですが、遊びの対象とか使い捨てにされたくない方なら一計を案じる必要があります。
「パーソナルスペースの補足、席順の選び方」で触れましたが、複数回、デートの回数を重ねることなんですよ。
一気に事を運ばない。何度も「親密な空間」に入ったり出たりを繰り返す。そこに多少の「危険な空間」とか「揺れる吊り橋のような状況」を疑似的に作り出し、共有を重ねることです。
それを繰り返すことで「二人だけの瞬間」を持つことができます。
吊り橋実験は後に各国で追実験が行われている、と書きましたね?
男性ほど顕著ではないのですが、女性にも似た効果があることは証明されています。男性のように一回で即効性がないのなら、複数回行って徐々に女性の「パーソナルスペース」に入れるようにすればいいだけですよ(笑)。
私の住んでいる神戸にはモザイク、ハーバーランド、という場所があります。
お勧めするのはアトラクションではなくてですね・・・。神戸タワーとかハーバーランド内にある「ビルとビルを繋ぐ高い渡り廊下」になります。
共にガラス張りでね。結構、怖いんです。横浜であればマリンタワーでしょうか? 風がある日だとかなり揺れます。吊り橋実験と似たような効果が得られます。
ビルとビルの間にある渡り廊下ならアトラクションとは違います。デートの途中で偶然、通るだけを装うことも可能ですよ。ですが、そのまま漠然と通り過ぎてはいけません。何の効果も無くなりますから・・・。
必ず途中で「立ち止まって」ください。
心理学の知識の使い方
吊り橋と同じですよ。風景とか夜景を眺める、「わあ、綺麗だ」で構わないのです。できれば手を繋ぐとかできるだけ、近くにいる状態で相手と「危険な状況を共有」することです。
時間は最低でも数分必要です。吊り橋実験では「その時間を稼ぐ」ためにアンケートを用いています。実際には「アンケート内容には」何の意味もない。それらしいものが羅列してあるだけです(笑)。
心理学者がよく用いるパターンですね。
ちなみに危険状況にある時は、怖さが先に立ちますので「手助け」つまり、手を繋ぐことを拒否しない傾向が強まることも心理学の実験で証明されています。
男性諸氏であるなら、その状況で女性の肩でも抱ければベストですが、いきなりでは難しいでしょう。焦ることなく最初は手を繋ぐくらいから開始してください。
私のサイトでは「パーソナルスペース」について、何度も触れられていますね?
その「パーソナルスペース」に、自然に近づく方法の一つとしてこういったやり方もあるわけです。
心理学の知識、つまり「吊り橋実験」の理論はそのままでは利用しなくてもいいんです。彼氏をわざわざ「渓谷にある吊り橋に連れてゆく」必要はないんですよ。
まして、爆弾付きのバスや船に乗せる必要もないですね(笑)。
映画「スピード」のヒロインの女性の言葉、「極限状態、一時的な緊張状態での恋愛は長続きしないわ」は確かです。実際にこちらも複数の実験や過去の事例(ストックホルム症候群)で証明されています。
命を失う危険のある状態で監禁されたり、異常な状態にある場合に始まった恋愛はその「状況」が改善されたり開放されると急速に冷めるのです。のみならず、相手を憎悪したり嫌ってしまう傾向が強まります。
ですから、わざわざ嫌われたり憎まれたりする必要はありません。一回で勝負をかけるとか異常な状況に追い込んで決断とか交際を迫るのではなく、手順を踏めばいいのです。
心理学の知識は正しく利用しましょう。
映画「スピード」の続編(スピード2)では、主人公が別人になってしまいましたが(笑)。映画の感想を述べているサイトで複数、「やっぱ、異常な状況下で開始された恋愛は長続きしないのか?」と書き込まれていて笑ってしまいました。
あれはただ単純にギャラの問題とか、キャスト(出演者)側の問題でしょう。
「極限状態、一時的な緊張状態での恋愛」を長続きさせることは不可能ではありません。ただし、スタートが不自然であったならより多くの努力とか精神的なケアが必要となるだけ。
恋なんてのは多くは自己満足と錯覚がスタートですよ。最初は些細な出会いとか間違いも多い。全てが最初から順調で計画的なんてのは珍しいのです。多少の歪みとか過ち、思い込みからスタートしたっていいんです。
それを実り多い「愛」に昇華させるのは、やはりご自身の感覚とか相手への思いやりに尽きるでしょう。
恋愛に関する内容で検索して私のサイトを訪れる方は、これからがんばってください。
2017年12月17日 加筆修正
谷口信行