正しい催眠誘導の方法 / 第二十五章

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緊張を解すために手のひらを開く

呼吸法に関する注意、よくある指導書とは違うイメージ(161ページ)

話しかけるここで呼吸法にも一工夫をしてみましょう。先に「まず息を吐く」ことを心がけるように指導しました。

3.息を大きく吸う際に、顎を上げて深呼吸をする

手を上に向け目を閉じます。背筋はそのまま延ばしたままで深呼吸を行います。

息を吸う際には「自分の顎が上にあがる」ように意識します。

息を吸うのに合わせて多少、身体が後ろに傾く場合がありますがそれは構いません。息を吸う都度に身体と顔が後ろに傾くようなイメージで大きく息を吸い、大きく吐きます。

この際、目は必ず閉じてください。また、自分の呼吸の「音」をしっかり聞くようにイメージしてください。

自律神経の調整を指導する書籍の中には、呼吸法について「鼻で吸って、口で細く吐く」ことなどを詳しく指導しているものがありますが、最初のうちはそれにはあまりこだわらなくてもいいでしょう。

他者催眠などで多数の誘導を行っている際、相手がそのような呼吸(口で吐いているか)にはあまり注意を払いません。

そんなものに注意を払わなくても「かかる」からです。

細かい呼吸方法にこだわらなくても、充分、深化が起こっています。私の感覚では、トランスに入った場合にはごく自然に、被験者が鼻から吸って口から静かに吐くサイクルを繰り返しているように感じます。

ヨーガなどの影響でしょうか? 年々、そのような呼吸法にこだわる指導書は多くなってきていますが、上級者でない限りあまり呼吸を意識しすぎる必要はないでしょう。むしろそればかり意識すればそれがかえって深化の妨げになります。

するとトランス状態にまで自分を導くことができません。

初心者の場合やまだ自己催眠に取り組んで日が浅い場合には顎の自然な揺れや、自分の呼吸や心臓の音などに意識を集中したほうがうまく行くように感じます。

4.呼吸を数え身体の力が抜けると共に、頭が前に下がって行くことをイメージする

慣れないと心臓の鼓動は聞こえません。お坊さんなどは坐禅中に自分の心臓の音が聞こえると言います。ですから、最初は自分の呼吸に意識を集中させてそれを数えます。

自己催眠も慣れの部分があります。最初はすぐにトランスに入るとは考えず「リラックスのために何分か、目を閉じてゆっくりと深呼吸をしてみよう」程度に捉えてください。

深呼吸を何度か繰り返した後で「身体の力がだんだん、抜けてくる」ことをイメージします。

すると、身体の力が段々抜けてきます。

息を吸うとたびに頭は一旦、上に上がりますが、吐くと前に動きます。力が抜けるたび、頭がどんどん前に自然に下がり始めるのです。

ピンッと延ばしていた背筋はだんだん力が抜け、前にゆっくりと曲がってきます。

深化法の手順に参考として載せた写真などと同じような状態になってきます。

正しい催眠誘導の方法 / 第十五章
深化法の手順(76〜85ページ)深化法には何種類かのバリエーションがあってここでは階段を使ったものと電車を使ったものを紹介しています。初心者は階段を使った深化法、イメージ法から練習すると良いでしょう。被験者が頭の中に描きやすい情景を利用することが成功のポイントです。

そしてそのまま身体の力がどんどん抜けて行くと、太股に乗せていた手が腿から離れそうになったり、ダラーンと床に落ちそうになります。

これを解説するならば、電車で椅子に座っていて、うたた寝をして寝てしまうような感覚だと思ってください。

これも深化法の手順のコーナーに解説が書かれています。

準備の段階でビデオカメラなどを用意するように指示しましたが、自分の状況がどうなっているのかここまでを撮影して見るのも一つの方法です。

うまく力が抜けていると、呼吸のたびに自分の身体が前後に大きく揺れているのが映っていると思います。

身体が揺れていない、力が抜けていないことが映像ではっきりとわかるならば、最初の部分からもう一度やり直す必要があります。

自分ではまったく自覚がないのに、映像でははっきりと身体が揺れて力が抜けていることがわかる場合があります。身体が大きく揺れている場合は、本人が思っている以上に深化が進んでいると考えていいでしょう。

ここまでが深呼吸と導入になります。

先に作ったタイムレコーダーに当てはめれば全体の20%までを進めたと考えてください。

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