正しい催眠誘導の方法 / 第二十七章

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自己催眠でも階段はイメージし易い

「何のために自己催眠に取り組んでいるか?」を理解する(171ページ)

禁煙一部の指導書には(訓練に成功すれば)必ず「手足は動けなくなる筈だ」といった内容に書かれている物もあるようです。確かに嘘ではありませが、そんなに多くはないですよ(笑)。

被験者や練習者によってはそのような感覚になる場合もあります。ですが、万人が同じ体験をするとは限りません。

私の経験からいえば、それは意図的にそのような訓練を行うので「いつもとは 常とは違った感覚がする」というだけなのです。意識が多少、はっきりしてくると元のように腕や足は動きます。

そうでなければ元に戻せなくなってしまいますから、後が大変ですね。

他者催眠とは異なり、他者からのより強い刺激や強制でもありませんから、自らに意思に反してまったく動かないといったことは少ないでしょうね。局所麻酔のようなことは起こらないと思います。

動けなくなってしまえば、不安が付き纏ってしまいます。ある意味では他人の助けを期待できる他者催眠のほうが楽なんですよ。

 自己催眠を行う理由は現在、自分に起こっているトラブル(不眠症や拒食症、落ち着かず、常にイライラする)を解消するためか、自己の性格や行動(どうしても、ギャンブルに依存してしまう、禁煙ができない)を改革したい、といった場合に限られます。

やはり何の目的もないまま、ただ漠然と「身体が動かなくなるに違いない!」とか「自己催眠をやってみたい」と考えて取り組んでも良い結 は得られません。

なぜだか、ただ何となく「自己催眠さえできるようになれば、自分の何かが変わるだろう」と思う人が多いようですが・・・。それは間違いです。そういった感覚の人が、中途半端な形で自己催眠に取り組んでは「意識がなくならない」などと苦情をいってきます(笑)。

興味本意でそういった捉え方をする人は改めてください。

自己催眠は自分で働きかけを行う分だけ、明確な目的意識を持たねばなりません。

他人が働きかけを行ってくれる他者催眠よりも難しい部分もあります。自分で行う「潜在意識への働きかけ」こそが暗示であり、 一般的な方法では効果が得られなかったものに有効である理由なのです。

深化法に取りかかる前に「自分が自己催眠で何を求めているのか?」をよく考えて整理してください。

はっきりとした目標がなければ、時間の無駄になります。

目的に向かって取り組むとトランスが深まり、意識を失うこともあります。

最初から意識を失いたいとう感覚ばかりを求めると、かえって自意識は強まってなかなか弱まりません。自己催眠や「トランス」を一緒のドラッグとか気持ちよくなる遊びのようなものだと錯覚している人もいますね。

それが「ただ意識を失いたいだけならお酒でも飲みましょう」と私が薦める由縁です。

私は自己催眠は安易なドラッグでも、興味本意で扱っていい玩具でもないと思っています。