意識を失うだけなら、お酒でも飲んだほうがマシ(170ページ)
よく私に送られてくるメールに、「何度やっても自己催眠で意識を失わない。おかしい」といった内容や記述があります。
勘違いしている人も多いようですが「トランスに入る」ことだけで何かが変わり、誰か救われるのならば世の中は聖人だらけになるでしょう。
それだけで何かが劇的に変わってしまったら、自分で何年も苦労して修行し、熱心に自分と向き合うような人は世界からまったくいなくなると思います。
私からすれば、そのほうが異様で異常でしかないですよ?
そのような誤った感覚を持つ人が。催眠の資格を与えてあげるだとか卒業証書をやるだとか、ネットで開業すればお金持ちになれるという言葉を信じて詐欺まがい行為やマルチ商法を始めるのだと思いますよ。
何かの技術や知識でその人があっさり変わるのではありません。取り組みを行う本人の意志、時間をかけてでも「自分を変えよう」と強く思う気持ちこそが、あなたの「何か?」を変えるのです。
どうしても意識を失いたい方は、お酒でも沢山飲んだほうがいいと思いますよ?
お酒の飲み過ぎで二日酔いになったり前日の記憶がない、という経験は、私もしたことがありますが(笑)。それくらいで何かが変わりますか?
せいぜいスマホや携帯、免許証や財布を無くすか、家族に心配かけるくらいじゃないですか? 酔った勢いで周囲に迷惑をかけたり、女性なら見ず知らずの男性と裸でいたとしたら?
それが救いになったり自己改革に繋がるわけがないでしょう。苦い後悔だけが残ります。
「自分の意識を失いたい」という、ただそれだけが目的ならばそれで充分です。わざわざ手間のかかる、自己催眠などを長時間かけて練習や訓練を行う必要などまったくありません。
先に紹介したシュルツの自律神経調整法も同じですが「何度やってもうまくできない」「身体も温まらないし手にだけ意識を集中するなんて出来ない」といわれる方がいます。
私は格闘技等もやりましたが・・・。全員が達人になれるわけもないです。
その人それぞれに向き不向きもありますし、どうやっても覚えられない人もいます。空手や合気道の道場にやってきても盆踊りか、というような珍妙な動きになってて。周囲から失笑されていた人もいました。
ご本人は真剣なんですよ。同時期に入った他の練習生がそれなりに上手くなっていくのに。そういった人はいつまで経っても初歩の部分で躓いて同じ動きを繰り返しています。
それでも、諦めずに粘り強くやっている方はそれなりに形になってきます。
意識レベルを下げなければ、自我(自意識、健在意識)は失いません。「意識が無くならない」と苦情を言ってくる人の多くは自分に都合良く解釈してしまって、きちんと取り組んでいない場合が多いでしょうね。
シュルツの自律神経調整法も優れた方法ですが、元々「身体が動かなくなる」(動かなくすること)ことを目標にはしていないのです。それはあくまで身体の部位を意識させるための練習であって訓練になります。
確かにシュルツの方法でも感覚がマヒしてしまい、一時的に手や足が自由に動かなくなるケースがあります。
訓練として温度や重さを感じ取るための方法を行っていると、身体を動かすために使われている回路(神経や感覚、筋肉)が遮断され、他の信号や情報(不随筋、血圧や心拍数を動かすなど)でいっぱいになります。
本来とは違う目的で、伝達神経回路が支配されていますから、 常の信号(筋肉を動かす)がうまく送れなくなるのです。すると、自分でどんなに意識しても腕や足が動かなくなるケースはあります。