正しい催眠誘導の方法 / 第十六章

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わかりやすい言葉で方向を指し示す

催眠が「深化」した際の注意点(86〜87ページ)

明確でわかりやすい指示を行う(86ページ)

ビックリマーク深化のために、重要な注意点に幾つか触れておきます。

深い催眠(深化)が起こってからの指示は、常に被験者にわかり易いように、具体的にはっきりと行ってください。

なぜ、人は催眠にかかるのか?(10ページ)で解説を加えましたが、顕在意識が弱まった状態では、言葉はただの言葉ではなく、力を持った暗示として働きます。

常においてはあまり影響のないような言葉でも、催眠状態で行う指示(暗示)は違った意味を持つのです。ですから深化法が終わった後からは注意が必要です。

正しい催眠誘導の方法 / 第二章
なぜ人は催眠にかかるのか?(10〜13ページ)人間には感情がある(10ページ)感情への働きかけ(11ページ)

深化が起こった時点で、施術者に迷いがあってはなりません。指示が曖昧になったり、被験者にわかりにくい表現になると被験者が混乱します。

初心者の頃には「催眠に実際にかかっているかどうか」の見極めが出来ません。

まだ経験が乏しく被験者の反応を見分けられないからです。中には催眠にしっかりかかっているにも関わらず、被験者本人に「本当はかかってないのではないか?」とか「演技しているだけだろ」と暴言を吐いてトラブルになった実例も知っています。

私は多重人格の症例にも何度か当たったことがありますが。そういった大きなトラブルとかトラウマを抱えている人の場合、軽い導入の時点で一気に深化が始まったり暴走することもあるので。相手を疑うような言葉を発したり曖昧な受け答えを行うと後で大変になります。

被験者によってはこの時点でかなり深い催眠に入っている人がいますから、言葉はただの言葉ではなく「暗示」として働くのです。いいかげんな表現や迷うような話しかけ方は厳禁です。

落ち着いて、流れるような誘導を(86ページ)

マンツーマンこれは深化のみならず誘導全体にいえることですが、変に作った声は逆効果です。

男性の場合、250ヘルツくらいのトーン(若干低め)が被験者とは親和性が高く、誘導には適しているといわれますが、これを施術者が意図して行うのは極めて困難を伴います。

背が高くても声が高い人が存在していて、痩せ型の人はその傾向が強いですね。あまりにもキーが高い方は工夫して少し下げる必要はあります。

目指すのは、アナウンサーが流れるように原稿を読んでいる、と思ってください。

甲高い声や間延びした声でニュースを読むアナウンサーはいないでしょう。落ち着いた声で、安定した調子で明確な指示(誘導)を行うことが理想です。

大切なのは深化が起こるまでの導入部分と「明確な指示」です。

最初の導入でつっかえると深化が起こらなくなります。間違えないほうが無難です。全体の誘導に不信感が生まれ、後がうまく続かなくなります。

また深化後は言葉が「暗示」として働きますので方向性はしっかりする必要があります。

自信のない方はまず、このテキストの導入部分や言葉(紺色の太文字で書かれた部分)を丸暗記して下さい。ある程度まで丸暗記した言葉で実地の誘導を行って、慣れてくればそのまま、自分のオリジナルの誘導方法を模索すればいいと思います。

その頃には、このテキストもビデオも補助的な働きに変わっているでしょう。初心者はビデオも参考にしながらここまでの反復練習を行ってください。

イメージトレーニングは被験者だけに行わせるものではありません。

慣れるまでは施術者自身も反復練習を欠かすことなく行ってください。

催眠を実際に行う場合、迷うような暇はありませんので、事前の練習は不可欠です。