自律訓練法から考える暗示(163〜168ページ)
深さは必要だが意識の喪失までは求められていない(163ページ)
自己催眠においても、暗示をかける際にはある程度の深化は必要になります。
深層意識に働きかけないと、禁煙や禁酒、ダイエットの効果が現れないか弱いものとなります。ですから、深化法を使ってを調整し、潜在意識に届くようにしておきます。
前のコーナーで行った「深呼吸の手順と最初の導入」のすぐ後に温感法(この後で説明します)や空間感覚練習などを行い、自立神経の調整や現在、自分に起こっている精神的なトラブルからの脱出を計る方法もあります。
それらの方法を用いると通常ではなかなか難しいトラブルの解決が図れるケースがあります。
そういった方法の場合、深いトランスはそれ程必要としていませんし、被験者(自己催眠に取り組む人)も意識を完全に喪失(ロスト、見失う)することはありません。
この後に紹介します、シュルツの自律訓練法などでもそれは同じで、それほどの深化は必要としないのです。
ケースによって違いますからどれもが一律ではありませんが、他者催眠と同じく、自己改革やトラブルからの脱出に常に深い催眠が求められているのではないのです。
漫画とかアニメ、これには私にも一因があるのかもしれないですが「催眠を取り扱ったテレビ番組等」の影響が強すぎますね。
催眠にかかると全ての人が意識を失って思うがままに操られるといった錯覚から、自己催眠に取り組む場合にも「意識が無くならないんだけど?」といった質問が届くようになりました。
意識を常に失うことが自己催眠の目的ではありませんが、目指す目標によっては多少はトランスを深めておく必要があります。理由は他者催眠などと同じで、それによって被験者の行動の抑制(禁煙やダイエットなど)やストレスの軽減を行える、と考えられているからです。
自己催眠法においても顕在意識や自我を弱め、直接潜在意識に届くような形での働きかけを行います。
ただし、前記したようにある程度の催眠の「深さ」は必要ですが、目標によって全てが一律ではありません。
混同しないよう注意して下さい。