私は催眠にはかからない!?(159ページ)
どこかで実演を行うと「私は信じてないから大丈夫だ」などといわれることは多いですね。というかそっちが殆でした。
はっきりいって「催眠にかかるかどうか?」についてにいうならば、ご本人が信じているか? などまったく関係ありません。
それこそ誘導者の思う壺です(笑)。
かかる人はどんなに(催眠を)否定していてもかかりますよ?
逆に言えば「催眠にかからない人」は、どんなにご本人が乗り気になって「私は信じているからかかるに違いない!」といい張ったところでかかりません。
番組出演を引き受けたり、講演会やイベントに参加するようになると有名人志望の人たちも集まります。なんとしても売れたい女性(と、その事務所)などは盛んに自分から売り込んできます(笑)。
ディレクターが新人連れてきたりね(笑)。かからないものはかかりません。番組やイベンターが求めているのは演技者、アクターではなく「催眠に実際にかかる被験者」なんですよ。
テストでかからないとわかったら、その時点でご帰宅願うことになります。
催眠についての指導書によっては、被験者が(催眠を)信じていればかかりやすいとか、素直な人がかかるなどと、まことしやかに書いてある物もありますが、これは大きな勘違いだと思っています。
先にダイエットに関する記述でも誤りや内容がおかしなモノがあると指摘しましたけれどね。催眠の「かかりやすさ」に関しても嘘八百というか、どうしてそんな結論に至ったのだろう? という書籍や記述は多いです。初期の頃は私も鵜呑みにしてしまって失敗しました。
ご本人が「信じているかどうか?」など、実際の誘導には問係ありませんって(笑)。解説の冒頭でも少し触れましたが、重要なのは潜在意識の領域の反応であって顕在意識(起きている部分、全体の約1割)が把握している部分ではないのですよ。
「私が信じているかどうか?」など私に言わせれば顕在意識のごく一部の理解にしか過ぎません。
催眠に興味がある人で、その部分を誤解している人は考え直してください。
番組の収録や飲みに行って催眠誘導を行うとね、まったく信じていないというか、否的で認めない「そんなものはない」といい切る人ほど、実際には深化が始まったら急速に反応が起こります。
日本において「催眠」というと未だに「信じない」だとか「あんなのはインチキだ!」などと言い張る人がいます。中には私と一緒に番組をやってたタレントさんでもそう言い出す人がいて驚きました。
目の前で何度も実演を見て素人や一般人がかかる姿、私が遠方から単身で乗り込み、事前の仕込みがないことを知っている人でもそんなことを言い出すのですよ。
信じる信じないのレベルでまだ騒いでいる人がいます。多少は先んじている側が技術や知識を利用できるわけで。多くの人が実用性を知ったら自分たちで利用しようとします。
価値は激減してしまうでしょう。私に依頼してくる人も減るわけです(笑)。
私はこういった反応について、脳の中のホルモンのバランスによって変化が起こるのではないか? と推測しています。ノルアドレナリンとかβエンドルフィンなどが脳内物質では有名ですが、そういったホルモンの分泌には人間の感惰が大きく関わっているのです。
人間の感情は、本人への外部からの刺激、視覚、味覚、聴覚、触覚、嗅覚、などにより変化します。
それによって何らかのホルモンの分泌が起こるのですが、催眠においては誘導、つまり施術者から被験者への語りかけや接触(専門用語でパスといいます)が行われます。それによって感情の動きが生じ、ホルモンの分泌が行われるのではないか? と考えているのです。
もちろん言葉の選択や接触方法、個人の性格や感受性によって反応は大きく異なることになります。
そこから考えていけばどういった人が催眠にはかかりやすく、どういった人がかかりにくいか? などの科学的な検証や分類が十分に可能なのではないか? と私は考えています。
私はすでにある程度の推論に達しています。私にはこれまでに膨大な数の誘導の経験がありますから、そこからヒントになるような症例やケースを拾い上げるようにしています。それらについては現在、複数の医療関係者などと検証を行っています。詳細を出す場合は正式な論文として発表されるでしよう。
経験からいうと「かからない」と主張する人のほうが、実際には催眠にかかり易かったりはします。
これが面白いんですよ。番組の収録においても「絶対信じない」などといってくる人がいますが、いざ誘導を始めて被験性のテストをすると、反応の良い人はびっしりと顔や背中に汗を浮かべていたり「トイレに行くたくなった」と部屋から出ていったり「恐い!」などといって逃げ始めます。
戻ってこない人も結構いるんですよ? 自分は催眠にかからない筈なのに(笑)。
かからない、と自分でいい張っている人の殆どは催眠にかかった経験もなく、またどこかでそういった現象を直接目撃したことがありません。
自分で体験したものでもなく、中途半端に聞き齧っている知識やテレビ番組を見た際に受け取った印象で「そんなものはない!」と勝手に思い込んでいるケースが多いんですよ。
「根拠のない否定」くらい脆く、意味のないものはないんです。
先に顕在意識と潜在意識は違う、といいましたが誰かの現象を直接見せられたり、テストや初期誘導で「否定していた人の潜在意識が」催眠の存在を認めてしまえば急速にかかりやすくなってしまいます。
表にいる自分がどんなに「催眠なんて信じない!」と主張してもかかるようになります。
よくあるんですよ(笑)。しっかりかった後でも「あれは何かの間違いなんだ」とか。「今度は大丈夫だからもう一度やってくれ」とか。
「そんな筈ないんだ」中には最後まで「インチキだ、俺はかからなかった」「あれはその場の雰囲気を壊さないように演技しただけなんだ」といい張る人もいます。
自分が催眠にかかっている姿を録画を見せても認めようとしない人もいますよ?
何度やっても同じ現象が起こります。ご本人たちは「私たちは騙されない!」とか「かからない」と知識も経験もなく思い込んでいますが・・・。
これは裏を返せば先入観が強く、自分が経験もしない出来事や聞き齧ったに過ぎない内容を確認もしないで受け入れていること、すなわち「暗示や言葉による煽動に弱い」証明に他ならないのです。
皆さん、気をつけましようね。否定にも肯定にも根拠が必要です。
皮肉なことに、余計な先入観や根拠のない否定、それが催眠をかける側にとってもっとも重要で格好の材料になるのですよ。相手はただそれを利用し喜んで調理するだけです。
まあ、一般の方の感覚がそういったもの(催眠なんてあり得ない、かかりっこない)と思い込んでいるから、私は番組などにも出演できるのですが・・・。
すでに常識として周囲に知識が浸透してしまえば私の活躍する場所など、どこにもなかったのかもしれませんね。当たり前になった知識や技術で驚く人はいません。
まだ、そういった技術を行っている人間が少なく、催眠に対する知識が社会に浸透していないからこそ、私はあちこちに招かれ、依頼や施術をこなす機会がある訳ですから。
私があちこちから依頼を受けたり、指導に行けるのは知識が十分に浸透していないからでしょう。
そういった理由からかどうかはわかりませんが、私は以前に何度かある番組に招いてもらいました。
せっかくですからここで私が番組出演に至った経緯と、そこで行われた内容について詳しく書いてみたいと思います。