催眠を行う前の環境設定(37〜38ページ)
今はセンサーが発達しており追突事故を起こしそうになったら警告音が鳴ります。
ランプも分散型のLED照明に変わったので以前のような居眠り運転やテールランプに吸い込まれるような事故は減ってきています。
これは何も車に限った話ではなく、電車などでも同様の現象が起こっています。
電車に乗って揺られている最中に眠くなってしまうのは、人間が眠くなるある一定のリズムとか音があってそれが影響しています。
人間は長時間、音などを遮断して単調な刺激(一定のリズムや振動など)を繰り返し、前にある光(テールランプなど)をボーッと眺めていると、幻覚を見たり自分の内側に引き籠ってしまう事があるのです。
私のホームページでも一部、触れていますが、昔はよくキツネやタヌキに化かされた、といった表現がありました。これを「集光効果」と言います。
旅人が山道を歩いていると途中でトップリと日が暮れてしまいます。
それでも急いでいるからといって無理に道を急ぐと、単調でまっくらな道を何時間も我慢して歩くことになります。
すると一度、通った筈の道をもう一度歩いているような感覚がしたり、歩いている時間が異様に長くなったり、短くなったり感じたりするようになるのです。
音や光が少ない状況で単調な作業の繰り返しをするとか、目的地への到着に焦っており「少しでも早く到着しよう!」と考えて長時間、我慢を重ねて歩いている(運転している)と現実感を失ったり時間の観念が薄くなって幻覚を見ます。
視覚がぼやけたり、音が遠くなったりするのが現象が起こる前の特徴になります。
暗い中での単調な作業「苦しいし辛いけれど急ぐから我慢してその作業を続けよう」などと考えた結果、眠ることも休むこともできなくなる。
それがトランス状態を作り出すことに近づきます。
そのうち頭がボーッとするようになったり、前方に見える光に吸い寄せられて、幻覚を見たり、時間のロスト(時間の感覚を失う)などの原因になるのです。
ましてその時、本人の不安感が増大していれば決して良い夢にはならないでしょうね。昔話ではだいたい、キツネやタヌキに泥饅頭を食わされたり、山姥が出てきて喰われそうになったりします。
ここまで書くとおわかりだと思いますが、催眠誘導を行うには環境が重要なポイントです。
催眠誘導を行おうと考えたり練習しようと考える場合はまず、その辺りを踏まえて環境設定を行いましょう。あくまで「初心者のうちは」ですが、最初は静かで厳粛性のある部屋がいいでしょう。
上級者になって技術が向上すれば、多少、周囲の物音がうるさいとか照明が眩しい程度は何とかなりますが、初心者の頃に無理は禁物です。刺激の少ない状況で意識を集中させるためのペンライトなどを用意します。
催眠におけるこういった環境設定を独自技術だ、ウチの会の秘術だなどと喧伝している団体もあると聞きますが・・・。
静かなお堂や洞穴での座禅、滝行などは修験者や宮本武蔵のような兵法者、昔から寺社仏閣でも盛んに行われてきた手法ですので珍しくも何ともないです。
木魚の音や念仏の声も単調で一定のリズムがありますが、あれなども催眠の手法に似ています。慣れていない人が聞いてると眠くなるのも当たり前の話ですよ。
坐禅中のお坊さんの脳波はアルファー波が出ていますが、それはそのまま催眠状態でリラックスしている時の脳波と同じになります。
初心者のうちは大勢が集まって注目していたり、周囲がザワザワと音を立てて被験者の集中力が途絶えがちな状況下での誘導は避けたほうが無難です。