なぜ人は催眠にかかるのか?(10〜13ページ)
人間には感情がある(10ページ)
人間には感情があります。人間の持つ「感情」や感情の起伏が、催眠誘導には密接に関わっていると考えられます。
感情がなければ催眠誘導を行うことも不可能でしょう。
催眠がかかりにくい人に60歳を超える高齢者と10歳未満の低年齢者、また言葉(言語圏の異なる)外国人などが挙げられます。
これなどは言葉の意味がわからず、こちらの話しかけに被験者が反応しない(反応できない)ケースが多いからなのです。
私達は自分を取り巻く環境や外的な刺激によってそれぞれに個性(パーソナリティ)が生まれ、感情には変化があります。
その働きかけ、刺激の中には自意識とか潜在意識と総称される「私達の自我」を弱める瞬間があります。
私達は映画やBlue-rayやDVD、ネット動画やテレビ番組を見て泣くことがあります。フィクションで作り話だ、とわかりきっていても場合によってはその刺激に影響を受けます。
どんなに「他人のいうことなど気にしない」とか「テレビや映画など面白くも何ともない」と言い張った所で、影響は受けますよ? ドキュメンタリーで実話だとされていたものが後にフィクションだとわかったケースもあります。
では、そのフィクションをみて驚いたり泣いた方は・・・。愚かで間違っているということになりますか?
CGなどの技術も上がってそれが現実であるのか作りものであるかの見分けは年々、難しくなっています。何年か前には心霊現象だとかUFOが映っていると言われた写真や映像でも嘘がバレたものがあります。
その「ニセモノとか作り物」であっても背筋がゾッとするものもあります。
人はそれにあえて騙され、楽しむこともありますよ? 遊園地やイベントアトラクションのお化け屋敷などが典型例でしょう。
人間に感情がある限り、外部から刺激を得てしまうと反応はします。「何を見ても何も感じない」とか「まったく泣かない」といった人はどちらかというとかなり珍しい人で・・・。
そのような方は友人や家族と映画を楽しむことも難しくなるでしょう。
アニメや漫画、ラノベや小説でも感動したり泣く人は大勢います。不思議に思いませんか?
理屈や常識が弱まり自分の内側にある感情がむき出しになる瞬間。それは誰にでもあります。
人が優れた絵画や音楽や文学、映像などの芸術や文化に感動したり憧れるのは、そこに感情に強く働きかけ、理性や常識を超えて私達の本心にストレートに届く情報や刺激があるからなのです。
人間を人間たらしめているのは人の持つ「感情の動き」といってもいいでしょう。感情があるからこそ人間なのです。人は外的な刺激を受け取ることによって感情を動かし、そこから今後の行動を決めます。
私がカウンセリングにおいても時々用いる言葉ですが、原因なくして結果はありません。行動があるならばその理由もあるのです。
自分では当たり前だと思っている行動の裏には、自分がどこかで何らかの形で受け取った情報や刺激があり、それによって「感情」が左右され、その感情に動かされるようにその後の「行動」を決めている可能性があるのです。