必要以上に怖がる必要はない(9ページ)
催眠、というだけで極端に怖がる人もいますが、あまりに怖がる必要はありません。
お酒を飲んだ(自意識が弱まった)からといって、誰彼構わず殴ってまわる人はまずいないと思います。そこまで極端に人格が変わる人はゼロに等しいでしょう。
気が大きくなってトラブルを起こしたり失敗するような人も多少はいますが、いくら自意識や表層意識が弱まるからといっても、人はどんなことでも簡単にする訳ではないのです。
先に電車の実例をあげましたが、泥酔していたり疲れて寝ている筈の人でも「自分の最寄り駅」になるとパッと起き上がったり無意識にフラフラっと立ち上がって歩き始めることはあります。
完全に意識を完全に失うほど短時間で大量のお酒を飲んだり、熟睡しないように注意する必要はあります。仕事仲間とか友人、家族が一緒にいたり、スマホや携帯にアラームでも仕掛けておけば寝過ごすことはもっと減るでしょう。
誰かが手伝うとか自分でも手順を踏んだり、事前に準備しておけば安全は増します。
今では考えられないことですが、昔はお酒ですら「お神酒(おみき、神のくださったもの)」「魔法の水」などと呼ばれて不思議がられ、崇められたり恐れられたりした時期もあったそうです。
お酒に対する正しい知識や認識の広まった現代において、まさかそのように思っている人は少ないでしょう。
確かに飲み過ぎれば頭が痛くなったり意識を失うことはありますが、現在においてお酒を「神秘の水で神の御技だ!」とまで崇める人はいません。
ストレスのない休日、仕事が終わったあとで飲むビールとかシャンパンはまた格別なのかも知れないですが、少なくともお酒は昔のような「神秘の水」ではなくなっているのです。
催眠も同じような部分を持ちます。知識や技術の浸透が十分でないために誤解や錯覚も多く、変に催眠を崇める人や、逆に不信感や恐怖、警戒心を煽っているところがあります。
特に日本においてはそういった技術に対する理解が遅れている部分は否めません。ですから、催眠を学ぼうとされる方はまず、その恐怖心や警戒心、知識の無さや偏見に立ち向かわなければなりません。
催眠とは本来、そういったものではないのです。自分自身で正しい知識と利用法を知り、その概念を元に経験を積めばいずれそれがわかってきます。
正しい知識と経験を持つ人が社会に増えれば、おかしな行為を行う人達も周囲にはわかるようになります。
催眠の名前を借りて安易なお金儲けに利用しようとか、おかしな新興宗教が催眠の一部技術を用いて自分達を崇めさせ、布教活動を行うような行為も影を潜めるでしょう。
ですから、皆さんはこのテキストで、催眠に対する正しい知識を学んでください。トラブルを防止するためには、多くの人達の知識と理解、技術の正しい普及がもっとも重要なのです。
催眠に対する片寄った知識や、誤った先入観を持たず、「催眠とは何か?」を正しく学び、正確な知識を身に付けてください。