表層意識(7ページ)
催眠にかかった状態をわかり易く例えるなら、夢を見ている状態やお酒を飲んで酔っ払っているときによく似ています。
一般的な生活において、表層意識(顕在意識)が極端に弱まることはあまりありません。なぜなら、それには危険を伴うからです。
潜在意識といわれる領域にストレートに刺激が伝わってしまうと、その影響ははかり知れないものとなります。下手をすればそのたった一度の衝撃でさえ、対象者は死んでしまったり、立ち直れない程のショックを受けることになり兼ねない。
無防備に裸で街を彷徨って(さまよって)いるのと変わらなくなりますから・・・。
内側にある「自分自身」(潜在意識)が大きな損傷を受けないよう、それを守る形で「心理障壁」という壁があり、その上に表層意識があります。
表層意識や心理障壁はある意味では非常に強固にできています。内側にある自分自身、つまり「自分の本当の姿」に近い潜在意識を守るために一種のバリアのような働きをしているからなのです。
人が時折、身体に悪いとはわかっていながらアルコールや睡眠薬、また覚醒剤(ドラッグ)などに手を出し、また止められなくなるのも実はそこに問題があるのです。本来、自分自身を守るために心理障壁は存在するのですが、それがあまりに分厚くなり過ぎると中からも表 に伝わらなくなります。
すると、逆に内側に溜ってしまったストレスの発散や、自分の本当の心を知るためには邪魔になってしまうこともあります。
丈夫な防壁は外にばかりではなく内側にも働いてしまいます。自分を守るためにある「壁」があまりに厚くなると、外的なショックから厳重に守ってもらえる代わりに、長期に渡って少しずつ貯えられたストレスも内側からは容易には抜けなくなってしまう。
守るための防壁がその人を閉じ込めてしまうことにも繋がるわけですね。
また、分厚い防壁を一瞬で突き抜けてしまうようなあまりに強い衝撃、心理的なショック(身内や肉親の死、火災や突発的な事故など)を受けて取り込んでしまったような場合においても、一旦、内側に入り込んでしまった情報は外に伝わりにくく、発散が難しくなります。
簡単にショックを受けて心が傷ついてしまわないように防壁は丈夫に作られている。
ただし完璧ではないので「長期間に渡って」少しずつ染み込んだものや、まだ壁が分厚くなる前の幼い頃に受け取ってしまったもの(これをトラウマといいます)または成人してからでも「あまりにも強い衝撃」を受けた場合には突き抜けてしまったり、影響が中に残される場合があります。
そうなってしまうと一般的、常識的な方法では、なかなか悩みや苦しみから逃れられません。
どんなに本人が上手に気晴らしや気分転換を行おうと努めてもなかなかうまくいかず、ついつい深酒をするようになってしまったり、どうしても眠れなくなって薬を用いるようにもなったりもします。
残念ですが、そのうちの何割かは中毒になってしまったり、違法な麻薬などに依存する場合も出てくるのです。
表層意識からの脱出は昔から様々に取り組まれてきました。
お坊さんや宗教家たちが瞑想や座禅、ヨーガといったものに取り組んできた背景には、それが自分自身で行える自己改革、つまり表層意識である「自我」(強いエゴ)から解放され、自己を見つめ直したり、改革するために必要とされたからでしょう。