続、催眠術で男性の浮気を防止する?

2017/11/30改訂
1998/12/00初稿

WEBに載せてた内容を番組でやって欲しいとの依頼が

前に実験のコーナーで、催眠術で男性の浮気を防止するって内容を載せたのは1997年の3月頃になります。

かなり好評でヒット数は多かったのです。時間も経ってきましたし、ページを更新するたびに削ろうかって思ったんですが、面白いと言って戴くことが多かったのでそのまま放置していました。

その放置していたコーナーをあろうことか、あるテレビ局の番組関係者がインターネットで見つけて私に出演依頼を持ちかけてきました。

「同じような内容をウチの番組でやって欲しい」

詳しい経緯は除きます。事情は自ら出した著作にも書きましたし、ホームページにのあちこちにそれらについて書かれていますから。

一度出てみると連続したコーナーになって視聴者からの依頼を募集する形になりました。視聴者から催眠術でできる「お願い」を募集して、それに答える形で催眠誘導を行い、それに答えてみようって企画ですね。

色々な依頼はありましがやはり女性からは彼氏の浮気についてが多かったようですね(笑)。

「彼氏の浮気を止めて欲しいんです」

じゃあ、一度、実際にやって見ましょうってことになりました。

WEB上に載せていただけの実験、身内の飲み会とかホームページのネタように私が考えてやった企画を、今度は地で行く、つまりカメラをまわして番組で実証する機会を得た事になりますね。

不思議なものでしょう? ホームページを開設してからわずか数ヶ月です。

ネットの黎明期には色々面白い事もあったんですよ。

今ならLINEとかTwitter、SNS経由での接触や出演依頼が多いのではないでしょうか? この頃はスマホもSNSもブログすらシステムとして存在してませんでした(笑)。

深夜枠だったので、実は2本撮り

困った事に二本撮りなんですよ、ああいった深夜番組の撮影ロケって。

深夜枠で予算のない所はまとめ撮りが多い(らしい)。この後、あちこちで収録に何度も参加するようになって知ったことでした。番組によっては撮影一本に十分時間と費用をかけるんでしょうけど、私が呼ばれた「ワンダフル」にはそれだけの時間も費用もないようでした(笑)。

平日深夜の帯番組でしたしね。収録に参加して驚いたのは制作スタッフが多くてワンフロアぶち抜きでした。TBSの本社ビルのワンフロアがその番組のために確保されていました。

週に5日分の撮影を行うとなると深夜の1時間番組でもそれだけの大所帯になります。

今の時代(2017年に加筆修正)なら外注に出すのでしょう。

後に同じTBS系の8時台の番組「学校へ行こう!」に1年半ほど出ていましたが、予算はやはりそちらのほうが多かったですね。コーナー視聴率が良かったので被験者に配るノベルティグッズとか作ってましたし(笑)。腕時計とかありましたよ。

こっちの深夜枠は色々と大変だったですね。予算がない時間がない、ともかく強行軍で毎日が戦争のような状態。毎日、椅子で死んだように寝てるスタッフとかいましたし。

皆さん大変そうでした。一人農業? の方もその頃に見かけましたね。

中島さんの洗脳騒動でコンビ解散になりましたが、松竹芸能のオセロが私のコーナー司会やってました。私がこの番組で会った頃は布製のツナギ着せられて食べ物の紹介してたような・・・?

テレビ番組はなぜ、芸人にツナギ着せたがるんでしょうね? 昔から変わってないですね。

テレビ初出演で無理難題を吹っかけられる私も辛かったですが、彼女達も辛そうでした。「せんせ、私等の給料知ってる?」とロケバスで騒いでいたのが昨日のことのようですな。

スタッフや関係者ばかりではなく、このロケのためにわざざわざ来てもらった被験者(依頼主のカップル)も、バイトや何かで忙しそうでした。

何しろ時間も金もないので、前の一本分の収録を終えた夕方から一気に撮るスケジュールに。

収録に参加して戴いたカップルは、17才(!)の女の子と26才の男性のカップルです。

今なら撮影できませんね(笑)。未成年者の女子高生と9歳年上の成人男性カップルという組み合わせは1998年だから成立したわけで。

東京都ならその後に成立した青少年保護育成条例に引っかかっちゃいますね。

親が認めているとか婚約中でないと番組撮影どころか交際が認められてません。

このカップルのケースでは彼の働くカラオケボックスで「彼女が」逆ナンパしたとのことでした。

割と可愛い女の子でしたね。彼女がいう「浮気者」(?)の彼は、元々、神戸に近い所の出身ですが、彼女にはそれを隠していました(笑)。東京では関西出身だと恥ずかしいんでしょうかね?

※このロケを行った時(1998年当時)は私は大阪に住んでいました。現在は神戸在住。これも不思議な感じですね(笑)。神戸に住むつもりはまったくありませんでした。

時間がなくて周囲が煩くても、まあ何とかなるかと

面白い人でしたよー。「浮気は文化だ!」と言い切った某芸能人もいましたが、彼はそれを地で行くタイプの一般人です。

話がまず面白い上に彼のキャラクターが良かった。よくしゃべるんですが、やっぱり関西出身、面白いんですよ、これが。

顔やスタイルでモテると言うよりは会話とキャラクターで憎まれない、と言うか特をするタイプの男性でしたね。

また、彼女も多少の焼きもちこそ焼きますが、本質的に彼が浮気を徹底的に嫌っていると言うよりは、「まあ、仕方ないか。私が惚れてて追っかけてるんだから」と捉えている女性でした。

そりゃそうですね。そもそもは逆ナンなんですから(笑)。

一応、かかるかどうかのテストは事前に会って確認していましたが、撮影の直前に事前催眠に当たるような時間をゆっくりとはとれませんでした。

撮影に参加してみてわかったのですが、撮影や収録においてそんな悠長な時間や暇なんて殆どありませんよ。催眠術の手順とか常識から考えるなら無茶苦茶です。

テキストの購入者なら手順を読み返してみてください。催眠誘導に必要な環境設定、この収録前の知られていた「催眠術の通念」とはかけ離れています。

スケジュールの都合で撮影が押していましたから、殆どぶっつけ本番(笑)。これは私の推測なんですが、それが日常茶飯事なのでしょう。

催眠には時間が必要だから、などといった意見は容れられません。それが催眠に関する収録を難しくしている由縁であり、当時、他の先生方が出演を断った理由でしょう。

彼の非暗示性のテストだけ行って見切り発車。彼の明るいキャラクターと警戒心の無さ、彼女の能天気とも思える陽気さだけが暗くなりがちの現場を救っていました。

私もロケ中もずっと話してましたよ? ええ。少しでも被験者の緊張を解こうと。

私は本来、仕事を離れるとあまり話しません(笑)。仕事中は明石家さんま並に話しますが、それが私の仕事だから。

まあ私はあまり事前に時間を割くタイプではないの、「何とかなるだろう」程度に捉えていましたが。以前から周囲には「いい度胸だ」とよく言われたものです。

ただし彼氏に催眠をかけてみれば深度は深いものの、その暗示がいつまで持つかどうかは疑問がありましたね。早めに収録を終わる必要がある。

その時の撮影は(催眠誘導の)収録自体が始めてでしたから、撮影スタッフも私も現場を整えたり、被験者を誘導したり座らせることにも慣れていなかったんですよ。

段取りが悪くって、どうも一回一回の催眠誘導に間隔が開きがちになりました。これは良くない。反応が弱くなりますし、持続するかどうかの見極めが難しかった。

もちろん今ならば何とかなりますよ。経験量が圧倒的に増えたので。収録に必要な手順や時間、被験者の催眠の持続性がどれくらいかもわかります。

当時は慣れていませんし、完全な手探りなんですよ。他の催眠術の先生方、当時は第一人者だとおっしゃっていた方が軒並み逃げたんですから(笑)。

おまけに収録は冬で。寒かったんですよ~。撮影は11月の終わりに近かったですしね。

寒いと意識は覚醒し易くなる。状況はかなり悪い、と言わざるを得ませんでした。私にしたってすでに十分な実績とか知名度があったら逃げたかったでしょう。

泣き言は言える状態ではなく、おまけに(催眠につては)スタッフその他が初心者ですから、説明が難しい。必要な時間とか環境については説明しましたが、だからといってその環境が与えられるかといえばそうではない。

物理的、金銭的に不可能な部分もあります。

とりあえず現場で試してみて失敗したら打ち切るか、ロケそのものが無くなることになります。

状況はかなり悪かったですが後には引けません。ロケバスの中で彼の催眠を深化させて少々、入り組んだ暗示を用いてみました。

暗示の内容とかけ方の手順

彼にかけた暗示は次の通りです。

1.彼(被験者)の好みのタイプの女性が通る度に自分の手で「目隠し」をする

これは当時の担当ディレクターの希望と言うか、意向です。見て「面白い」物でないと視聴者にはわかりのくいので、目隠しとするようにしてその行動を見てみようって内容です。

事前には何のテストもやってませんからね。当然、リハーサルもなしです(笑)。まあ、私にすれば催眠で事前にリハーサルをやるのも変な気がしますが。

事前に「彼女が彼の行動を」見たら、びっくりしないと思うんですよ。

要するにリアクションがとれない。素人ですから。一般の人はいきなり現象を見せるしかないんです。

催眠を行っている先生によっては、実際に「被験者がどのように動くか?」の徹底したリハーサルをやる方もいるそうです。これは撮影の際にテレビ局の関係者に教えて貰ったんですけどね。

まだ若かったせいもあるのでしょうが、それは私には理解しにくかったです。そんな見え透いた方法だと自らの気力ややる気が萎えます。

被験者とその彼女は「現象を一度」見ていることになる。それだとお芝居でしょう?

やらせやインチキがやりたくて催眠を学んだ訳ではない。人の驚く顔を見るのは好きですが、視聴者や参加者を騙して喜ぶ趣味はないんです。

自分で鍛えた技術や腕で魅せたい。わがままですが、それが私のこだわりです。そこを失えば関わってきた理由がない。

学閥や背景を持たず、ソロプレイヤーとして社会で揉まれてきた私からすると演技で済むなら催眠術師はいらない。それこそ大手芸能事務所の所属のお笑いタレントや役者を使えば済むでしょう?

催眠術の番組が増えていないのはそれだけ実演が難しいことを意味します。入念に打ち合わせとリハをやれば失敗が少なくなりますが新鮮さも無くなる。演者も参加者も表情にそれが滲むことになるでしょう。「なーんだ、やっぱり仕込みなんだ」って。

それでは面白い映像にはなりません。

彼(被験者)が、ディレクターの思惑通りに動くかどうかはわかりませんが、とりあえず、その暗示を与え、強化しました。二つ目は

2.付き合っている彼女が「こうちゃん(彼の名前です)寒い」って言うと、彼女を後ろからギュッと抱き締めてキスがしたくなる

って暗示です(笑)。この二つ目の暗示に関しては、彼女の意向が十分に反映されています。事前に「どんなことをしたい?」って聞いた時に彼女が彼に「優しくキス(?)して欲しい」って言ったので、そういった内容になりました。

今なら絶対に放送できませんね(笑)。放送上のコンプライアンス違反で条例違反。

できれば、幸せそうな内容を希望(笑)

放送日がクリスマスに近かったんですよ。ですからやはりカップル向けと言うか、幸せそうに見える内容にしましょう、って話になりました。

私も幸せな内容のほうが好きですしね。

後から考えるとこの辺りまでが出演して楽しかった頃ですねー。誰も傷付かず、楽しい内容でしたから(笑)。

テレビ番組ってインパクト求めて、どんどん無理な要求出すんですよ。これがとても大変です。

どこの番組でも同じです。視聴者に飽きられることを恐れるので、どんどん間違った方向というか、衝撃力を求めて走り出してしまって戻れなくなります。

番組側の気持ちや立場はわかりますが、何かあった際に恨まれるのは私ですからね。事故を予防するのはプロとして参加するものの勤めです。

残念なことに、一連の番組に出た直後から嫌がらせや勧誘メールを送ってきたり、ウチのサイトの安易なモノマネや丸パクリ、ネットでの誹謗中傷も増えました。

この当時は特に酷かったですね。わざわざホームページや掲示板を自分で立ち上げて「最低の番組だ!」などと書き込んだ奴もいます。

成り代わりや自作自演の簡単なネットにおいてはトラブルもたくさんあります。

まだネットに慣れている人が少なかった。Twitterやネット炎上などという言葉も無かったですし。そういった書き込みを真に受けて追従する人もいましたよ?

ネットの黎明期で基礎知識に欠ける人達も多かったですから。

今だから種明かししておきますが、それは番組に出たかった他の「催眠術師」(笑)のしわざです。誰がやってたかもわかっています。ウチにも執拗にメールを送りつけてた連中が何人かいますから。

正直、哀しいことも嫌なこともたくさんありましたね。現場では必死に被験者や一般の人達を庇ってるのに、見ているだけの人にはわからない。

ただ数字が欲しいだけのディレクターやプロデューサーに無茶を言われることもあって。

局と番組名は伏せますが兄とやってる会社の事務所に直接、電話がかかってきて「ヤラセをやってくれ」って堂々と申し込まれたこともあります。

断ると「あんた、本当にテレビ番組に出てたのか?」って捨て台詞を吐いて電話が切れています。下っ端の番組ADだと思いますが。ゴールデンでコーナー持ってからもそんなものでした。

そういった事情を知らない一般人とか、私と過去にたった数回面識のあるだけの人が酷いメール送り付けてくる事もありましたね(笑)。

「あなたがそんな人だとは思わなかった」とか「あなたのそんな姿は見たくない」だとか「あなたは変わってしまった」だとか。

私自身が裸になるとか、どこかから飛び降りるなどの恥や危険を背負うならともかく、一般人の参加者や被験者、それも若い世代に無理ばかりさせられませんよ。

企画としては難しいのですが、できるならばやっぱり皆が幸せになる内容がいいですね。強引なのとか無理やりなのではなく、面白くてちょっと不思議に思える映像、現象がいい。

どんな煽りだろうと内容さえ凄ければ数字がとれるってのは制作側の錯覚、驕りですよ。幸せそうでない映像は怖がられるだけです。催眠ならば尚更そうだと思います。

元に戻しとけって?

撮影を始める前に、また難しい注文を受けました。ディレクターが「まず、彼を元に戻しておいて下さい」って言ったんです。

この頃、番組の収録に参加してディレクターによく言われたのは、「絵的に面白くない」とのことでした。

映像としての対比が欲しいので、まず、彼に普段通りにナンパして貰ってその様子を撮影します。

その後で催眠でリアクションを起こしてナンパするたびに「目隠しをする」映像を納めたい。だからせっかくかけた催眠を「一旦解け」と言ってるわけですね。

それは番組側の都合であって(笑)。私とか彼(被験者)の都合ではない。絵的に面白くしたいから「催眠を解け」と言われても。その後、瞬間でかかるとか簡単にかけ直せるって保証がない。

そもそもに必要な時間や場所すら確保できていないんですから。

それをディレクターに説明しても、おそらく理解できないでしょう。

手順とか手続きとか「下準備」ってのは本職にしかわかりません。その職業や技術に携わる人にとっては大切な準備でもそれに直接関わっていない人にはわからない。

「その程度は我慢しとけ」とか「どうせそこは映らない」とも言うでしょう。

私も接客業とか販売業が長かったですから。現場の空気や雰囲気は読めるわけです。くどくど説明するよりも「ぶっつけ本番でやってしまえ」に傾いていきました。

一般の人とか視聴者は要するに「映像」しか見てないのです。最近は映像だけでは弱いので相手に情報を受け取らせるためにテロップをつけて効果音をつけて、笑い声まで被せてます。

そこまでやってもインパクトに乏しい映像もあります。分かり易い映像、はっきりした形での比較対象が欲しいのですね。

確かに意図はわかるんですけどねー。それならば先に言って欲しかった(笑)。

なぜならば催眠を深化させるのも時間がかかったり難しかったりするから。解くなら解くで手順もありますし、後で同じ効果が得られるとは限らない。暗示を行う順番にもよるんですよ。

で、仕方ないので「催眠を解いて」元に戻し、まず彼が普通にナンパするシーンを撮影しました。

ロケバスを止めて、少し離れた所から、彼の姿を追います。

すでに暗くなりつつあったのに、画面(ロカバスの中にモニターがある)で見ると真昼のような明るさです。その画面に、彼の姿がくっきりと映っています。

私とタレントさん(オセロのお二人)と、彼と付き合っている高校生の彼女はロケバスに残って彼の行動をモニターでチェックしました。

職業を間違えたんじゃないの?

当然、音声もマイクで拾っています。ピンマイクを腰につけて電波で受けます。彼が女の子に片っ端声をかけるシーンをみていると面白い。

やっぱりねー、結構、ウマいんです。

なにが、って彼のナンパが、です。

決して男前ではないんですが、物怖じしないし雰囲気が堂々としてます。彼のキャラクターが面白いと言いましたが、彼女が浮気の心配するのもよくわかる気がします。

女の子に声をかけるのに何のためらいも恥じらいもまったくないんです。これはなかなか難しい。

余談ですが、ナンパは結局根性なんですよ。普通の男なら、見ず知らずの女の子に声をかけるのはちょっとは躊躇(ちゅうちょ)するでしょ?

昔から下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって言いますが。言葉を返すなら一発も撃たないなら誰にも当たらない。勇気と根性がないと誰かに声をかけるだけで萎縮してしまいます。

街に馴染むって言うか違和感がない。現場で撮影中にキャバクラや水商売のスカウトか何かと勘違いした、現地のスカウトマン(らしき人物)が彼に「お前は誰に断ってココで商売してるんだ!」って撮影中にねじ込みに来たくらいですから。

ちょっとしたハプニングです(笑)。AD(アシスタントディレクター)が慌てて駆け寄って説明していました。ああいった街角にはスカウトマンが常駐していて露骨な縄張り争いがあった時代ですね。

当然、放送はされませんでしたが「撮影です」って被験者の彼が懸命に言っても、相手が信じてくれなかったんですよ。番組スタッフが出ていって初めてわかってくれました。

まあ、スカウトマンが総錯覚するくらい慣れてました。寒かったのか使い捨てカイロのようなもので手を温めてて。ずっと周囲を見回しています。

よっぽど普段からやって鍛えてるんでしょうかね? 凄いのはね、確かに彼が話し掛けた何人かの女の子は、自分からそのまま彼と延々と話している女の子がいるんですよ。

中にはね「私、スッチー(スチュワーデスって事ですね。今ならばキャビンアテンダントと言います。)なの」って聞かれてもいないのに話し掛けてきた人までいます。

このシーンはそのまま放送されました。

困るのはね、彼、結構な面食いなんですよ(笑)。

マイクで音声拾ってますからね。「あんなの大したことねーや」とか「綺麗なネーチャンが通っていないなー、今日は」って声を拾ってるんです。

別に私達はあんたの好みを聞いてるんじゃないって(笑)。「誰でもいいから早く声かけろ。さっさと撮影させんかい!」って、撮影スタッフは皆言っていました。

「いいのがいないなー」と言いつつも、かなりの人数の女の子に声をかけてました。付き合ってる彼女が気に入った女の子や綺麗そうな女の子を見かけると、「私を放っておいて見に行ったり、走っていって声をかける」って言ってた意味がよくわかります。

彼は、そのまま職業(スカウトマン)になれそうな雰囲気でした。

確かに目隠ししてる(笑)

そこまでの収録が終わったら、一旦、彼をロケバスに戻して催眠を強化します。

ここからがやっと本番です。

暗示の内容については先に書いた通りです。「目隠し」と「コウちゃん」がキーワードです。ただし、時間もかなり経過してますし、一旦、完全に催眠を解いたのでスタッフ一同(私やオセロも含めて)不安になってました。

もう暗くなってたのですが時間を割いて、特に念入りに暗示をかけ直しました。

果たして彼は本当に目隠しをするのかどうか? 皆、ドキドキしながらモニターを見つめています。

催眠のロケにおいて面白いのは、その瞬間に参加者全員が緊張することですね(笑)。

どこでどんな番組に参加しても同じです。どんなに事前の被験者の反応がいい、本当にかかっていると確認しても、カメラまわして実際に現象が起こるかどうかまでは確定していません。

どんなに入念に用意しても安心はできない。

プロとして施術に呼ばれている私はともかく、ディレクターやスタッフまで緊張するのは何でなんでしょうね? 異様な緊迫感があるんですよ。期待感と緊張感、いわゆるショービジネスでいう所の幕の開く直前のような、というのでしょうか?

困ったのはねー、出演してくれた彼(素人さん)が好みがうるさいモンで、普通に通りがかる女性ではなかなか反応しないんですよ。

よっぽど美人でないと反応が弱い(笑)。声かけに行かないんです。そんなビックリするような美人が東京の街角にゴロゴロ転がっている訳ないじゃないですか・・・。

贅沢なんですよね基本的に。もう時間がないのに。仕方ないのでもう一度ロケバスに呼び寄せました。

「ちょっとでも綺麗だ、と感じた女性は全部、顔をのぞき込もうとして、結局、自分に目隠しをしてしまう」って暗示を更に追加してみました。

元の場所に戻すとその直後に、若い女性が彼の目の前を通りがかりました。

「お、いいなー」と言いながら彼が行動を開始します。

いつものように自然に話し掛けようとすると、自分の手が自然に顔まで上がってきてしまい、両目とも塞いでしまいます。

子供の頃にね、「イナイ、イナイバー」ってあったでしょ? 子供をあやしたり、機嫌をとるためにやる奴ですけど。ああいった感じですかね?

よく考えるとね、失礼な話ですよね。自分の顔を覗き込もうとする男性が、ですね、わざわざ自分の両目を塞いでいるんですから(笑)。

企画した時はそれが相手に失礼にあたるとか、女性が怒るとは思っていなかった。

「私の顔は鑑賞に堪えない、見ることもない、ちゅうことかい!!」

関西なら突っ込まれるでしょうね。まあ、ギャグだと思ってくれる人もいるかもしれませんが。ここからがまた凄かったんです。

暗示の内容は、「ナンパしようと考えると目を塞いでしまう」でしたから、確かにその通りになっています。物理的に考えれば目を塞いで、そのままナンパできる筈がありません。

まったく前が見えない状況なのに、彼はそれでも女の子に話し掛けたんです。

「ねえ、これからどこに行くの?」

マンガでしょ(笑)? スタッフ一同吹きました。

声かけられた人も恐かったと思います。なぜか、自分で目隠ししながら近付いてくる男が必死に話しかけてくる。ちょっとしたホラーです。

「何? この人?」が普通の反応でしょうね。

お二人の仲はかなり良かった

この収録が面白くなったのは、ひとえに、彼と彼女のキャラクターのおかげでしょう。彼女は典型的なコギャル(これももう死語ですね)なんですが、モニター見ながら「チョー、ムカつく!」って現代用語(笑)で言ってたんですよ。

でもね、そう言いながらでも撮影中も彼を気遣ってました。

外は寒かったですから。優しい心遣いを見せていました。

言葉遣いや雰囲気は今風の若者そのものですが、彼女の時折見せるその態度や言葉の中にはね、彼が本当に好きなんだなーってことが自然に伝わってきたり温かいものがあって。

おそらく、それは周囲にもわかるんですよね。

なかなか優しい女性でした。彼の浮気(というかナンパ癖)も、「何が何でもヤダ!」と思ってヒステリックになっているのではなく多少は我慢するけど「私もちゃんと見て」と思っているような女性でしたね。

確かに若いですがしっかりしている部分もありました。

彼は彼で彼女を大切に思っていないのではありませんでした。収録中もその前の調査や事前の準備の時も、結局二人とも仲は良かった。

たぶん、思い出作りに番組に参加してくれたんでしょうね。本気で怒ってとか腹が立っての依頼ではなかった。

彼女にすれば、普段は我慢して「私がこーちゃんを好きなんだから仕方ないよね」と思っているものの、彼のナンパ癖が一時でも止まり、「なんでや? 前が見えん! チャンス逃げ捲まくりじゃん!」と必死に焦っている彼を見れたのが嬉しかったのかもしれません。

ロケバスの中で大笑いしてました。

彼は彼で彼女の尻に敷かれている部分があります。なんだかんだ言っても、彼女が好きで、そのまま付き合っていたいんですね。確かにたまーに、浮気はしそうな雰囲気はありましたけど(笑)。

末長くお幸せに

まだ若い彼女なんですけどねー。彼に上手に騙されたフリをしてあげてるって感じでしょうか?

本当に仲の悪いカップルでこういった撮影なんてできませんよ。お互いがお互いを許している優しさがあったので、見ている人にも嫌な感じを与えない、幸せそうな映像になったのでしょう。

まあ、ハッキリ言ってしまえば、今回のケースでは根本的な浮気の解消には役に立っていません(笑)。

後で全部、元に戻しましたから。

そのままにしたのでは、いくらなんでもちょっと彼が可哀想でしょう?

お二人の思い出にこの収録が残り、将来の良い記憶になれば嬉しいと思います。

最後に彼女が彼にこう、言いました。

「こーちゃん、寒い!」

番組のクライマックスです。その言葉を聞くと彼は私の行った暗示の通りに、彼女を後ろからギュッと抱き締め彼女のほっぺたにキスをしました。

「キャーッ」と恥ずかしそうに言いながらも、彼女の顔は嬉しそうです。

彼女は調子にのって「こーちゃん、寒い!」「こーちゃん寒い!」を連発しました。すると今度はこーちゃんがもっときつく彼女を抱きしめ、激しく彼女にキスをしようとします。

「ギャーッ! 恐いー!」

今度は本気で叫んでいます。やりすぎだってば(笑)。キーワードを何度も言ってしまったため、彼の反応があまりにも激しすぎて流石の彼女もビビったようでした(笑)。

撮影の終了後、催眠を全て解除しました。その帰り道、彼が「俺、何してたの? 俺、いったい、何してたの? 教えてくれー!」と必死で彼女に聞いている姿がとても印象的でした。

お二人とも、末長くお幸せに。

※1998年12月にTBS系列のワンダフルに出演後、書かれたものです。初期の頃から内容は変えていませんが、読みやすくするためにレイアウトを整え一部に加筆修正を入れてあります。

1999年04月20日 旧、撮影日記から改訂

2017年11月30日 加筆、修正

谷口信行

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