催眠術で女性を口説けるのか?

2017/11/28改訂
1997/06/00初稿

初期の頃に行われた実験、検証です

初めに言っておきますが、女の子にモテない人が催眠を覚えたら急に女性にモテるようになるか、と言えばそんなことありえませんよ(笑)。

催眠「術」ができますよ、催眠を生業(なりわい)として仕事としてカウンセリングを行っていると誰かに言った場合、一番多い質問は「女がそれで口説けるのか?」でした。

催眠が漫画やテレビなどで面白おかしく取り上げられるので、そういった感想や錯覚を持つ人たちも多いのでしょう。

残念ながら私の所に「催眠術を教えてくれ」と押しかけてくる人には、この手のタイプが時折います。

※初稿として載せた1997年当時の感想です。現状は催眠についても少しづつ理解されこういった錯覚は減りつつあります。

見るからに気持ちの悪い印象の人であったり、すごーく気が弱そうで無口であったり、暗い印象であったり何を考えているのかわからない、一種の薄気味悪さや怖さを持っている人であったりする場合、相手が心を開いてくれる訳がありません。

催眠とは相手の心を理解することや開かせる事を中心とする技術であって、無理やり何かを聞き出したり、相手に「強制する」技術ではないのです。

催眠をやっている人にも当然、巧い下手があります。

「私は世界で何番目の催眠術師だ!」とか「私は素晴らしい技術を持っていて全ての悩み事を解消できる!」などと、自分で煽っている愚かしい人がいますけれど、私はそういった行為を行う人で素晴らしい技術者に出会ったことがありません。

下心があったり高慢で傲慢な人であったりすると、それはその人の表面に覗きます。強引な勧誘や商法が嫌われる由縁でもあります。他人を利用しようとするその下心が、その人の表情や視線、態度を歪ませるのです。

人間の第六感、第一印象や何となく受け取る感覚、女性の直感っていうのは馬鹿にできないものです。時に敏感に感じ取るんですよ(笑)。厭らしい気持ちがあったり、自惚れや傲慢さ、または薄気味悪さがあった場合、それをどんなに隠していても相手に伝わってしまうものなのです。

普段の生活の中でも、自信を持って仕事を進めている男性だったり、相手に対して思いやりがあって優しい男性だったりする場合、本人がカッコつけてわざわざ何も言わなくても、なぜか女性には印象が伝わりモテたりするものなのです。

習い事の基本は皆同じ(笑)

ある意味では女性はそういったことを見抜く天才だったりします。まあ、女性の中には男の持つ自分勝手さや強引さを「男らしさ」と勘違いしたり、気が弱く優柔不断な人を「優しい人だ」と勘違いしている人もいらっしゃいますが・・・。

催眠を「便利なマニュアル」だと勘違いしてしまって、それで「モテよう!」とか「女性が口説けるに違いない!」と思い込むその感覚が、自分が半人前で他人に相手にされない、女性から毛嫌いされる原因であり理由になります(笑)。

習い事の基本は皆、同じですよ。ピアノやバイオリン、ギターを習おうと同じですし英会話や語学、空手や合気道などでも同じ。「催眠術ができる」からモテるのではなく、何かを習っているからカッコいいのではなく、それをどう使うかどういった用い方をするかです。

語学を習ったことをひけらかしたり、あちこちで自慢げに語れば嫌われるだけでしょう。相手に英会話を強要すれば嫌がられます(笑)。自分を始点に相手に何かを押し付ける行為は迷惑にしかならず、空手を習った者が暴力を振るったり尊大な態度を表情や態度に滲ませれば、尊敬されるどころか敬遠されます。

これから催眠に興味を持ったり覚えようと考える男性のためにあえて一言言うなら、催眠もたくさんある「習いごと」の一つにすぎません。英会話やボクシングを習うのと変わらないのです。

何事も得意げにひけらかしたり、誰かを傷つけたり偉そうに振るうことに使えば当然のように嫌われます。誰かを助けたりTPOをわきまえて上手に用いるならば尊敬されることもある訳ですね。特殊なものであったり、利用者や習得者、習熟者が少ない技術や知識であれば尚更、理解されたり支援されたり喜んで貰えることもある訳です。

実験の話を公開する前にこんな話をわざわざしたのは、催眠が決して特殊な技術ではないことを知って欲しいからです。やる気、覚える気があれば練習しだいで誰でもできるものだと思います。

と同時に催眠だけに頼ってモテるようになろうというのは残念ながら、大きな勘違いです(笑)。

要は催眠という技術を自分の得意分野のひとつに加えるかどうか、ここに書かれている実験の結果、知識や応用の技術を自分に加えるかどうかの問題だということです。

実験の話だけを先に書いてしまうと、どうも都合の良い所だけを抜粋して理解する人も多くて笑います(笑)。そんなに簡単じゃないんですよ。被験者(催眠をかける相手)に近寄る手法、相手に警戒心を抱かせない、相手を理解する姿勢こそが心理学の基礎であり、催眠の第一歩なのです。

そこの部分を曲解せず、正しく理解してから読み進んでください。

暗示、実験の内容

複数の女性の協力を得て、実験を試みました。

協力をして戴いたのは、二十歳から三十五歳までの既婚未婚の女性十数人です。正確なデーターを取るには不十分な参加人数かもしれませんが、一般の方に参加して戴くにはこの辺の数が限界でした。学生の参加希望者もいましたが、未成年者は私の一存で除かせていただきました。

被験者の職業はOL、公務員、主婦、家事手伝い、水商売(アルバイト)など、出来るだけ片寄らないように異なる職種から選んでデーターを取らせていただきました。

実験の内容はきわめてシンプルです。

事前に筆記でアンケートを行い、可倒テスト等で簡単な非暗示性(催眠のかかりやすさ、テキスト参照)を調べ、かかりやすい人を中心に催眠を深くして行きます。

全員を後催眠現象が起こる所まで催眠をかけたら、一旦催眠術を解き、全員の前に一人の男性を紹介します。

女性たちがその男性をみたときの第一印象、表情、反応や言葉使いを観察、一部は録画しました。またその後、女性一人一人に男性を見たときどういった感情が湧いたのかを面談して聞いて、詳しく調査しました。

女性たちにかけた催眠(暗示)の内容については、次の通りです。

1.あなたの前に一人の男性が立っています。その男性がとてもステキに見えます

2.あなたはその男性を自分のものにしたい、と強く感じます

3.反応の良かった被験者数人を選んで、その人達には更に3と4を追加します。

4.その男性があなたに「二人っきりになりたいな」と言ったら「私も一緒にいたい」と強く感じます

5.一緒にいたいと感じるようになったら「どこにでも一緒に行きます」と相手に告げ、男性と腕を組みます

という、暗示を追加しました。

最後におまけとして

6.彼が「ホテルに行きたい」というと、彼と腕を組んでホテルについて行きます

という所まででお終いです。

ご本人達には事前に解説して了承済み

集まっていただいた女性達(被験者)には事前に暗示の内容をすべて説明しておきました。

正確なデータを得るためとか厳密に考えるなら暗示の内容は話すべきではないでしょう。実験が終わった後に話したのでも十分かもしれません。

ただし、この実験を行ったのは(催眠誘導やカウンセリングを行う)初期の頃です。

まだ番組等に出演(初めての出演は1997年8月くらいから)をする以前でしたし、講演等も著作もありませんでした。催眠に関する知識も一般には浸透しておらず、病院や医療関係施設でカウンセリングに催眠誘導を用いる所も少なかったのです。

ミニコミ誌やタウン誌、果ては電話帳に宣伝広告や案内を載せたいと言っても断られた時代です。

お金の問題ではなくて・・・。審査で落ちるんですよ。

その状況で被験者に何の説明も行わず、いきなり実験を行うのは無謀でしょう(笑)。誤解や錯覚を招く可能性もあります。仕事としてのキャリアも浅かったのであくまで遊びの一環、催眠現象を体験して理解して貰うこと、開始したばかりのホームページ(この頃はまだこのサイトも存在しませんでした)のネタ作りのため、親しい間柄から協力者を募ったのです。

無用なトラブルを防止するため実験の内容を話しておくことは不可欠です。反応がよかった人には「ホテルに行く」という暗示まではやりますよ、という説明はしておきました。

まあ実際には行かず途中で止めてます。

協力して戴いた男性の方は当時三十三歳になる男性で結婚されていて二児のお父さんです。背は高いですが見た目は普通。優しそうではありますが極端にモテるタイプではありません。

こちらの都合でできるだけ、普通(に見える)人を選ばせていただきました。催眠の効果なのか、本人の魅力なのかわからないような人では困りますので・・・。どちらかというと真面目なサラリーマンで遊びが苦手なお父さんといったタイプの人を選びました。

わざわざ言うまでもありませんが、ホテルの入り口までかドアの直前までという約束です。どこまでついてくるのかは男性としては興味のあるテーマではありますが、これ以上は倫理やモラルにも反します。本人の同意を得ていても、後で問題になるのは確実です。

「別にそうなったらそうなったで構わないわよ」と不敵に笑う心優しい(?)というか、度胸満点の女性もいたのですが、それはそれで全然違うデータの収集になってしまいます。

残念ながら諦めました(笑)。

あまりに濃い内容だとアダルトサイトと間違われてしまう。誤解や錯覚も生みますしホームページにも公開できなくなりますから。

それぞれの反応と感想を確認してみる

催眠誘導を行い催眠を深化させます。後催眠現象が起こるレベルにまでかかった事を確認してから最後に女性に対して、

1.催眠から目を覚ますと催眠中のことは忘れてしまいます。ですが、必ず私の言った通り男性のことを好きになってしまいます

と告げてから目を覚まさせます。

今になって振り返ってみると、ずいぶんと拙い(つたない)暗示ですね(笑)。表現も下手で被験者の心に対する働きかけも弱い気がします。やはり経験も大事ですね。

当時は経験量が足りません。具体的な暗示とか誘導内容を施術者である私がしっかり把握できていなかったのでしょう。テレビ番組などで行われるショー催眠のモノマネのようになってしまっています。

現在ならばもうちょっと違う手順、言葉を用いると思いますが、この頃はこれで精一杯です。

その後、女性たちを一箇所(違う一室)に集め、

2.友人の◯◯さんです

と紹介した訳です。

ここでとても興味深いのは、実験の内容を全員が知っていることです。

前もってわざわざ「女性が催眠で口説けるのかどうかの実験をしますよ」といって集まっていただいたにも関わらず、私の紹介したAさん(仮にそう呼びます)を何の疑問も持たず、「ステキな男性だ」と感じたり口々に言い出す人が続出したことですね(笑)。

彼(後、Aさんと記述)を紹介した途端、目をウルウルさせている人、急に落ち着きがなくなってしまった人、彼に視線をじっと合わせて逸らさない、ちょっと恐い(?)タイプの女性、足を何度も組み替えてあきらかに動揺のみられる女性などです。

中でも面白かったのは、ひとりの女性がAさんに対して話しかけると、他の女性がやきもちを妬くことですね。彼女(達)の頭の中では、「あの人は私のものなのに!」という強い感情がメラメラと燃え上がっていたのでしょう(笑)。

これはこの実験をみての私の個人的な意見ですが、女性にはあまり異性や恋人のことで競争させるべきではないのかもしれませんね。よく「俺はモテるんだ!」などと、恋人や奥さんに吹聴する男性がいますが、あまり良い結果を生みそうにありません。

女性はこの人を「好きだ」という感情より、「他の女に取られたくない!」といった自分でもよくわからない強烈な感情から突飛な行動や過激な行動、衝動に駆られやすいのです。

下手に煽ったり競争させると反射的に女性に刺される、なんてことも起こりかねません。

やはり男性には女性の心を思いやってあげる注意と優しさが重要だと思われます。

これは複数の被験者を一気に集めたために起こった反応です。これが単独での実験であった場合、ここまでの強い反応は起こらなかったのかも知れないですね。

女性の「他の女性(同性)に負けたくない!」という意識は、男性が思うよりもっと強烈で強いのかもしれませんね。何よりも強い感情の一つではないでしょうか?

「私の部屋に遊びに来ない?」とか「一緒に飲みに行きましょう」とか、Aさんはしつこいくらい熱心に繰り返し女性に誘われていました。

Aさん(対象者になってくれた男性)にとっては、独身生活以来?の久しぶりにモテた瞬間です。このうえなく幸せな瞬間だったと思いきや、後でAさんに感想を尋ねると、楽しい、というよりも、

「すっごく恐かった」

というのが彼の正直な感想だそうです(笑)。

自分でもそんなにモテると思ってない人からすれば・・・。大勢に迫られるのは悪い冗談というか、一種の集団ヒステリーかパニックのように感じるのでしょうね。

内面に関する答えが多かった

催眠中は自意識が弱まりますので、自分の欲求により「正直」になります。

欲望とか願望がよりストレートに出ますから、表情や視線、雰囲気が独特のものになるんですよ。ですから、女性達の「むき出し」になってしまった感情や欲望に直接、触れてしまうことになります。

だからAさんは嬉しいとか楽しいとかいう以前に、恐怖を感じたのかもしれませんね。

まだ経験の少なかった時代ですから、見ていた私でさえ少々恐く感じました。ここまで効果があるとは思っていませんでした。激しい感情や独特の表情、目つきに戸惑ったのです。

収集がつかなくなりそうでしたので、特に反応の激しい女性、嫉妬の表情が激しい三人の方には「後で必ず彼と話す時間を別に作ります」と言い含め、先に別室に下がってもらいました。

表面上はまったくといっていいほど反応のなかった女性と、全体として反応の弱い女性も除きました。全体の上と下を切って反応を平均化した訳ですね。

残った人数、約半数の6人だけで実験を続けることにしました。

まず被験者の方々にAさんの印象を尋ねてみました。「カッコよくみえる」 「素敵に感じる」 「優しそうに見える」など意見として多かったのは、外見より内面を差す言葉です。「優しそう」とか「私を理解してくれそう」とか、「あたたかい感じ」といった表現が多かった。

Aさんとこの後どうしてみたい、と漠然と尋ねると「つき合ってみたい」「もっと話がしたい」「遊びに行きたい」などが多かったです。

少数意見(一人)ですが、「ウチに連れて帰りたい」なんて直接的なご意見もありました。

面白いことに反対に男性に催眠をかけて女性を紹介し、どうしてみたい、と尋ねると、「抱きたい」とか、「やりたい」とかいう安易で直接的な返事が圧倒的に多いのです。

女性の場合は直接的な表現を避けます。男性の場合「肉体関係を持ちたい」といった即物的な感情表現が先に立ち、催眠にかかった場合はよりストレートな言動になりがちです。

催眠中であっても女性が「エッチがしたい」などという直接的な言葉を発することはあまりありませんね。(例外もあります。下の余談を読んで下さい。)無意識に「恥ずかしい」と感じたり、性的な欲求で「誰とでも関係を持つ女」のように扱われることを避けているのではないでしょうか?

男性の方がより直線的で、ある意味では単純だと考えられなくもありません。

女性も本心や本能では同じなのかもしれませんが、露骨な表現をされることは嫌がります。

おそらく普段から言葉や態度などから相手の心情を推察しないと女性は上手に口説けないのかもしれませんよ(笑)。女性側からのアピールや仕草をついうっかり見逃してしまっているのかも。

ご注意ください。

時には注意が必要です

余談になりますが、男女問わず強い被虐僻のある人に過って催眠にかけてしまうと後が大変です。表面の意識、理性や道徳、羞恥心といったものが更に弱まってしまいますから「あなたの前ならどんなことでも出来る!」とおっしゃって、施術者に付き纏う例があります。

浅はかな男性にはそれを「羨ましい」と思う人もいるでしょうが、事態はそんなに単純ではありません。そういった人の要求は段々とエスカレートし、毎日ひっきりなしに電話が鳴ったり、一日中どこに行っても待ち伏せされるようになります。

この実験を行った1997年前後には、まだストーカーという言葉が一般化していませんでした。いわゆる「つきまとい行為」に関する法整備が行われるのは2000年の11月になってからです。

桶川ストーカー殺人事件を期に議員立法化されています。

刃物を持って追い掛け回したり、車で追突する、家族や仲間に嫌がらせするなどは、実はこのタイプに多いのです。

女性だから大丈夫とか、真面目な生活態度、固い仕事をしているから安心、ということはありません。既婚未婚、年齢も関係なし。

ご本人からすれば「私の心を始めてわかってくれる人が現われた」と本人は固く信じている訳ですから、普通に知り合ったのとは訳が違います。

はっきりいってかなり恐いです。困るのは実際には催眠(誘導)にまったくかかっていなくても「自分はかかった」と言い張るタイプもいます。こちらが何も尋ねていなくても、勝手に自分の体験談を話し始めてしまい、制止してもやめません。

前世催眠? などでもあるんですけどね。貴族やお姫様、王様や貴公子ってのはそんなに多いわけがないです。全人口のほんの数パーセントでしかなかったでしょう。

催眠にかかった、と言い張って延々自分の作り出したストーリーを話す人もいますよ。時代考証や当時の常識、風景や慣習からはかけ離れているのですが。漫画やアニメ、小説で読んだものを真に受けてしまっていたり、自分は素晴らしい人物の生まれ変わりなんだと言ってきます。

マリー・アントワネットや織田信長は現代に何人、存在しているのでしょうね?

やんわりとその事実を告げると怒り始めます。あげくに「私の心を弄んだ!」などといって追いかけ廻されることになります。

最近、私は相手の目を見てある程度少し話をすると、そういった傾向を持つ人はなんとなくわかるようになりました(笑)。これも経験の賜物でしょうか?

素人というか経験の浅い人が、そういった人に施術を行うのは危険です。私のように職業としてカウンセリングや悩み事に携わるなら仕方ありませんが、よくよく注意して行うようにしてください。

私が施術を行う場合には事前のテストの段階で止め、じっくり説明するように配慮しています。

ここからが本番

ここまでで、一旦、実験を打ち切りました。女性を全員別室に集めた上で、一人ずつ個別に部屋に呼び戻します。

私も別室にさがり、部屋にはAさんと被験者の女性だけの二人だけにします。後はカメラモニターで観察します。当時はカメラも解像度が低くてとても高かった記憶があります。

この配慮は他人の視線や態度を感じることで、被験者の反応が鈍ることを避けるためです。

Aさんには女性にこう、話かけてもらいました。

1.あなたがとても気に入ったので、この後、二人きりで何処かに行きませんか?

あくまで実験とは関係のないポーズをとってもらいました。女性会って気に入ったので、今回の実験とは関係なく自然に誘ったという形をとらせていただきました。

その上でこう畳みかけます。

2.できれば、他の人(私も含む)には内緒にして欲しい

実は女性全員にそういっているのですが、他の人にはそれを伝えていません。待ち合わせの場所を何箇所かに分け、時間帯も重ならないように少しずつずらしてしまいます。

集まってくださった女性達には「今回の実験はすべて終了しました。本日は解散しましょう」とだけ言って急いで待ち合わせの場所に先回りします。数人で待ち構えて現われる女性の数を数えようという計画です。

ここだけは被験者に伏せておいたんですよ(笑)。ここが実験のミソです。

反応の激しかった女性三人についてはAさん自身に待ち合わせをしていただきました。他のポイントは監視だけです。Aさんは同じ時間帯に2人は用意できませんので・・・。

待ち合わせ地点に現れた時点で隠していた部分、実験がまだ続いていたことを話し、落ち着いた場所に誘導します。催眠を解かないといけませんので(笑)。

今回の実験の目的は女性が口説けるのか?ということでしたから、いちばん可能性の高そうなポイントにAさんと待機、反応を見守ることとなりました。

女性が実際に待ち合わせに現われるかどうか少々不安がありました。催眠の厄介なところは同じ催眠や暗示の内容でも個人差が激しく、どの程度までかかっているかは外見からは判別が難しいのです。

施術者はおろか、催眠にかかってる本人にもわからないかもしれないですね。そのあやふやな部分が「催眠術は本当にあるのか、無いのか?」といういつまでも終わらない論争を招いています。

また時間が経過すればするほど暗示の効果は薄くなります。

「実験はすべて終わった」と私に告げられた時点で、すべてを忘れ何事もなかったかのように帰ってしまう人も何人かはいらっしゃいました。

どこまでがOK?

結果から先に申し上げれば、実験の成功の比率はまあまあの結果だと思います。

十三人に暗示を行い、待ち合わせに現われたのは九人でした。

今回は「女性が口説けるか?」の検証実験でしたから、ここからは反応のはっきりと現われた女性三人を中心に反応を観察します。

待ち合わせの場所に現われた女性に対し、Aさんに、

「これから一緒にホテルに行こう。それでいい?」

と誘っていただきました。要するに実験は終了しているとの設定なので。

全て終わって「あなただけと待ち合わせをしている」「あなただけを気に入って選んだ」との設定を疑似的に作り出し、待ち合わせに訪れた女性に男性が「僕と肉体関係を持たないか?」とはっきりと誘っている訳ですね(笑)。

果たしてその反応は? とドキドキしながら見ていると、

「はい」

といって、一人目の女性はAさんと親しげに腕を組んでしまったのです。

これは催眠をかけた私本人にとっても、かなりの驚きでした。

次に現われた女性(二人目)も、反応にあまり大差はみられませんでした。次の方のほうが少々、恥ずかしそうにしていただけです。Aさんの後を黙ってついて行きました。彼女は普段の生活で腕を組む習慣がないのか、Aさんにうながされても腕を掴んだのは一瞬でした。

三番目の女性はもっと強烈です。二番目の女性の方の催眠を解くのに手間取り、Aさんも私も待ち合わせの現場に戻るのが少々遅れたのです。最初の方から数えると催眠をかけてから2時間が経過しています。

さすがに帰っただろうかと思いながら慌てて現場に駆け戻ってみると、ちゃんと彼女は指定された地点で待っていました。

長時間待たされたことにムッとしてはいましたが、Aさんが現われ、時間に遅れてしまったことを丁重に詫びると何事も無かったかのように機嫌よくホテルに向かおうとしたのです。

かなり驚いた。効果は持続するものなんですね。実験当日はかなり寒かったんですよ。だから余計に驚いたのです。

実験の総合結果とそこからの推測

一連の実験の結果は、私にとっても驚きを通り超して衝撃でした。

男性被験者で実験を行った時もそうでしたが、今回も洒落(シャレ)のわかるメンバーではあります。いわば身内や仲間に近い。

一般の方を募集しての実験ならまた違った結果が得られたでしょう。

気心が知れてて以前からの顔見知りで「おもしろそうだ」と参加してくれた人たちと、不安感や恐怖心、間違った先入観を催眠に対して持っている人達とでは結果に大きな違いがあって当り前です。

しかし、この結果は私自身の考えていたものとも大きく違っていました。いざ、ホテルに行こう、というと、催眠が解けてしまったり嫌がる人が出たり、「そんなことは絶対にイヤ!」といって断る人が続出する筈だったのです。

ただ、よく考えてみれば、当り前なのかもしれません。

男性に催眠をかけ「あの女性があなたにエッチをしようと誘っている」と暗示をかけた場合、抗ったり断る人は殆どいません。驚くほど簡単に誘いに乗ります(笑)。

男性の性衝動が強いのか元々、そういった感情が日々の生活では隠されているのかは知りませんが、女性の誘いは殆ど断ろうとはしないのです。

男性に催眠をかけると「好み」の部分の枠が広がります(笑)。いわゆる守備範囲が広がるんですよ。年齢層の幅が大きく広がる(例えば20代の男性が40代50代の女性相手でも大丈夫)傾向や体形、身長、顔に対するこだわりがなくなったり、受け入れられる範囲が広がるのです。

よほど強固な意思を持っている人か、奥さんや恋人を特別に思っている人でないと止められないのが現状です。

催眠を用いた実験で過去に実際にあった例では「ウチの嫁さんに悪いから」といって女性の誘いをきっぱり断った男性がいます。

男性がその状況であるのに女性はそうであってはならない、断る人が多い筈だなどと漠然と捉える辺りは私も古い慣習に囚われているのかも知れないですね。

これは女はそうあって欲しいと願う、男の古い願望のようなものなのかもしれません。

実験の後でAさんがこんなことを言っていました。

「本当にいいの?って、相手の女の子に問いかけると『なにが?』って平気な顔で言われるもんで、頭がパニックになりそうだった」

Aさんには催眠に対する十分な知識がありません。実験の内容を当日に教えられただけです。女性本人が当り前のような顔をしているので「本当にこれでいいのか?」とか、「このまま本当に二人でどこかに消えてしまおうか?」とか、瞬間、良からぬ事がが頭をよぎったそうです(笑)。

後で全員を集め(ただし本当に帰ってしまった人を除く)て催眠を今度こそ全て解きました。それぞれに、Aさんに誘われた瞬間、どんな感情が湧いたかを話してもらいました。

「嬉しかった」

「やった、きたーってカンジ」

「当り前のように思った」

など、嫌な印象を持った人は一人もいませんでした。

違和感の無さ、疑問を感じない不思議

Aさんに誘われたときに疑問が湧かなかったのか、不思議に思わなかったのか尋ねてみました。

実験内容については事前に話してあるのです。催眠「術」で女性(異性)が口説けるかどうかの実験をします、と告知してありますから違和感を覚えるのが普通かも。

ですから、Aさんがそのような行動や発言をすることは容易に推測できる筈です。

そこの部分に気がつかないことが不思議ですね。

Aさんが結婚しているのか?とか、彼女はいるのか?とか、勤め先は?とか、通常であれば当り前のように感じる疑問であり質問です。また、自分がなぜAさんが気にいったのか、疑問は湧かなかったのかを詳しく被験者に訊いてみました。

「何も考えが浮かばなかった」
「別に聞かなくてもいいし、ついて行くのが当り前のように感じた」
「わざわざ、そういう立ち入ったことを聞く必要も無いように思った」

最後にAさんにあのままホテルに行こう、と言われたら、そのままついて行って肉体的な関係を持ったかについて、女性陣に答えてもらいました。

1.関係持った、もしくは「持ったかもしれない」が、4人

2.ついては行くが関係は「持たない」「直前で断ったと思う」と答えた人が3人

3.わからない、が一人

4.全体がぼんやりしててよく覚えていない、が1人

という結果に終わりました。

不可能ではないんでしょうけどね(笑)

この実験結果を踏まえ私個人の意見として、催眠を女性を「口説く」ということに限定して使った場合、可能かと問われれば「可能である」と答えるでしょうね。

ただし、そういったことに催眠を使おうと考えた場合、幾つかの大きな問題点があります。

最初にも触れましたが、まず被験者お不信感や恐怖感、催眠に対するイメージ、施術者にいかがわしさや怪しい雰囲気を被験者が少しでも感じ取った場合、催眠はかかりにくくなるでしょう。

催眠を「かける」以前に話しかける時点から、相手に不信感を持たれます。

「催眠のかけ方」(現在、このコーナーは削除されています。テキストをお持ちの方はそちらを参照してください)の項でも触れますが「催眠はラポールに始まってラポールに終わる」といわれるくらい、相手との信頼関係が大切です。

悪用しようと思えばよほど用意周到にしなければ難しいでしょう。こちらの勝手な思惑が少しでも表情や態度に悪意が見え隠れしていたり、厭らしい下心がのぞいている場合、催眠はすぐ解けてしまうかかかりません。

催眠が悪用できない、本人の意思や意向と真逆のことをさせるのは難しいと言われるのはそこに、人間同士の付き合いがあるからです。

他にも問題はあります。

抜群に会話が巧いとか幅広い一般常識とかなりの専門知識を勉強しておかないと、まず女性との会話がなりたちません(笑)。上手に催眠の話にまでもっていけないのです。

初対面の女性に「私は催眠術ができるんだ。やってあげよう」などと切り出すと間違いなく変人扱いですよ(笑)。日本においてなら占い師や霊媒師のほうがメジャーでしょうね。

私も武者修行時代、全国各地で催眠誘導の実演、実践を展開しました。講演会や公演に招かれたならいざ知らず、見ず知らずの人達の集まる場所とか、そういったものにまったく触れたことのない人達のいる通常の店舗で催眠を行うのは至難の技ですよ。

私は音楽のガンガンかかってるキャバクラとか、スポンサーに連れて行かれた風俗店とか、野外の音楽ステージ、果ては花火大会でドンッドンッって炸裂音が鳴ってるイベントでも成功してます。

音もうるさいですし周囲の注目も浴びます。そこで実演に成功するだけのテクニックと度胸を持っている人はそんなに多くないんですよ。

また、女性と静かな場所で二人っきりになる機会があるなら、催眠など用いずにお酒でも飲みながらスマートに口説いたほうが早いでしょうね(笑)。

学ぶ方はよく考えてくださいね

私自身がその後、テレビ番組や雑誌の取材などにも参加することもありましたが、収録を「直接見たことのある人」や番組の関係者、出演者でさえ「恐い」と敬遠されたり、「超能力の人ですか?」といわれて苦笑いすることもかなりありましたね。

信用してもらうまでが一苦労で誤解や錯覚を解くのがまた一苦労。

共演したばかりの女性タレントさんや芸能事務所の関係者に呼び出されたり、催眠をパパっとかけて所属タレントの独立を阻止してくれなんて言われたこともありますよ。

目の前でまったく繋がりのない一般人に催眠をかけているのに八百長だやらせだと言われたり、反対に異様に怖がられることも度々、ありましたね(笑)。

一般の方の催眠術に対する認識はその程度のものなのですよ。

ですから、催眠の一部を齧っただけで自分が凄い人であるかのように自惚れてしまって。「催眠、催眠」といくら連呼した所で。周囲に尊敬されたりモテるようになどなりませんよ(笑)。

たとえば他人とのコミュニケーションが上手に取れない人や、見た目が気持ち悪い人、女の子を見て薄気味悪い笑顔を浮かべる相手に。あなたは心や身体を預けたいと思いますか?

そんな人が「催眠術をかけさせろ」と迫ってきた場合、嬉しいと思いますか?

はっきりいって無意味だと思います。お金と時間の無駄でしょう。

今どきの女性はそんなに甘くありません。「何この人?私に近寄らないで!!」で終わりです。

占いを統計学だと考えて学ぶような明晰な人なら、催眠も覚えれば便利なアイテムかもしれません。言っては悪いですが当たるも八卦当たらぬも八卦なんですから(笑)。

それを何でも叶う魔法の道具で「神秘の技術で相手を自由自在に操れる」と思い込む人なら手を出すと危険になります。

催眠術師ならぬ詐欺師に騙されたり、カルト系に洗脳されて身ぐるみが剥がれますから。

安易にただ何かを拝むような性質の人なら、何に手を出してもトラブルは拡大します。高いお金を払っても何度でも騙され続けるでしょう。

特定の一部分だけ突出している人ではなく、他にも充分魅力をや能力、人柄を備えている人が特殊技能、例えば格闘技や心理学や催眠などの技術を覚えた場合、かなりの範囲で使い道はあります。

私は女性(女性ならば男性、気になる相手)に「催眠をかけて操ろう!」には賛成しませんよ(笑)。それは誤りです。

長い経験から私の催眠に関する技術や知識は相当増えていると思います。ですが、だからといって私は自分の付き合う女性を催眠で操って付き合ってきたり一方的にいいなりにすることはやってませんよ。

それは私の望む所ではありません。

私自身も騙されることは何度もありました

私も付き合っていた女性に騙されたり、嘘をつかれたことはあります。相手が結婚して子供がいたりあちこちで浮気していることを知らなかったり。

女性が二股三股をかけていることに気づかず、浮気相手の男に直接接触されたことまであります。

私は相手を知りませんし連絡もできませんが、こういった公式サイトを実名で運営していると向こうからはわかるわけです。第三者を装って平気で連絡してきます。

これがね、一度ではなくて複数回ある。さすがに凹みますよ? 知らずに彼女の浮気相手と直接会って親身になって相談にのっていたことまであるんですから・・・。

私は人の反応を読むのが子供の頃から早かった。その後、心理学や催眠などを深く学んだが故に付き合う女性や親しくなった友人はできるだけ疑わないように心がけてきました。

疑えばきりが無い。相手の反応が気になって心の休まる暇がなくなるでしょう?

カウンセラーとか医者、催眠術師といったって一人の男、仕事を離れれば単なる人間に過ぎませんから。ですから催眠をかけて操ろうとか、恋人の嘘を暴こうとはしなかったんです。

面白いでしょ? 私は接客業や販売業では無類の強さを誇ったはずなんですが・・・。未だに破られていないレコード(販売記録や売り上げ記録)ホルダーでもあります。

水商売でも宝飾販売でも視聴率でも強かった(笑)。伝説のように語られることもあったくらいで。どの職種に関わった時でも誰にも負けない自負はありました。なのに身内とか仲間とか恋人にはともかく弱かったんですよね。

「遠慮なんてせずにガンガン、催眠かけて調べればよかったのに」って?

カーレーサーは一般道をぶっ飛ばしますか? 医者は家族の健康状態を常に把握している? 家族や友人、恋人を疑ったり調べる人なら。嫌われて孤立化すると思いますけどね?

経験や知識が普通の人よりもある筈の私自身がそうなんですから(笑)。催眠が万能で便利な道具ではない証明でしょう。

何でも簡単に出来る技術ではないとご理解ください。

興味を持って調べてみる、触ってみるが第一歩

かといって催眠を学んだ事は無駄ではなかったと思っています。なぜなら催眠をかける手順や技術、心理障壁を除いたり相手の心に入り込むテクニックには様々に応用できるものがあるからです。

催眠を覚えたい、または習いたいと考えている人や、これから心理学について学びたい、私に誘導をやって欲しい、テキストを手にしたいと思う人はこのコーナーやホームページに書かれていることを読んで参考にしてください。

余談になりますが、実験に協力してくれた真面目なAさんは最後にこう言い出しました。

「ぜひ、催眠を教えてくれ! 俺も絶対覚える!」

協力してくれたお礼にテキストを差し上げましたが、できるようになった、との噂は聞きませんね(笑)。おそらくは途中で挫折したのではないか? と思います。

千里の道も一歩から。催眠(広い意味では心理学)の応用、そういったものを利用したテクニックや社会の中に多数存在します。

ご自身の興味のある部分から始めるのが一番ですよ(笑)。当初は興味本位であっても深く学ぶうちに理解が深まって本当の意味や価値がわかってくることもあります。

興味が持てる部分から関わって諦めず、じっくり取り組む姿勢こそが肝心です。

※このコーナーの初稿は1997年、私が開業当初に書いた内容です。年数が経過しましたので2017年のサーバー移転の際に原文の内容を変えず、読みやすいようにレイアウトと一部に加筆修正を加えてあります。

このコーナーを読んだマスコミ関係者から番組などに招かれるようになった、というおまけ付き(笑)。この実験を行ったのは1997年2月です。

6月頃に載せてわずか2ヶ月後の8月頃には番組出演。ネットの凄さを体験したのがこのコーナーでしたね。

2017年11月29日 加筆、修正

谷口信行

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