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お父さんが彼氏に見える!?

00’08/15 On Air

本当はね・・・

収録の順番は前回放送分(8月1日)のほうが前なんですよ。放送上の都合で前後が逆になりました。

実はね、今回の放送分に関してはとても収録に苦労したんです。今まででもっとも大変だった、といっても過言ではないでしょう。

一口に「催眠」といっても収録の度に苦労します。理由は簡単で、被験者(催眠にかかる)人が同じ人ではありませんし、反応はその人によってまったく違うからです。

意味がわかりますか?

私のテキストや著作を読んだ方は参考にして欲しいですが、心理障壁と言われる心の中の壁や、その人の「語意」(言葉に対する意味、反応)は受け取り方によって様々ですから常に一定ではないんですよ。

スタッフやディレクターでも理解できない人がいますが、「毎回、必ず同じ反応で同じ映像」が撮れる訳ではないんです。まして同じ手順で良いわけでもない。その人の受け取り方や個性によって反応は異なりますから、まったく同じ手順、同じ「言葉」を用いてこちらが誘導を行おうとも、相手が同じに受け取ってくれるとは限らないのです。

難しいのはですね、時には被験者(催眠にかかる人)が違う人だからだけではなく、「同じ人であっても」その人の気分や機嫌一つで反応がガラッと変わってしまうことがあります。

こちらがどんなに丁寧に準備を行い、プロとして言葉や暗示を選んで経験から予想をたてたとしても、全てが正確にわかるものではありません。同じ人に前回とまったく同じ手順、同じ言葉を用いても、場合によっては反応が異なり、かかったりかからなかったりすることがあります。

これが一般の方にはなかなか理解できません。場合や状況によって微妙に「変化する」ことが理解出来ず、「いつも同じでなければならない」と思い込む場合が多いのです。

扱うのは人間の心ですからね。数学においては常に「1+1は2」ですが、人間の心においてはそれはそのまま当てはまりません。パソコンソフトのプログラムとは異なる。

カウンセリングにおいても同じですが、人の心は複雑なのです。本来、「2」になる筈のものが、場合によってはマイナスであったり、4や10、何万という数字にも化けることがあります。

ですから事前に行えるのはあくまで予測に過ぎないんですよ。

こういった不確定要素が、催眠が「嘘だ!」とか「インチキだ!」などと言われる原因の一つにもなっています。

事前催眠の意味

一時期、テレビ番組の関係者に「事前催眠」という言葉が流行ったことがあります。(先生によっては予備催眠という言葉を使います)

この「事前催眠」は催眠をかけるための手順であると同時に、被験者がどういった状況であるのか、暗示、つまり施術者側の「言葉」に反応し、思ったような効果や行動をとるのか、事前に調べて確認する作業なんですよ。

調べておかないと予測ができません。その人が暗示に対し、どういった行動やどういった反応を起こすのか?は実際にかけてみないとわからないのです。一種のリハーサルのようなものですね。

ところが、そうそうまくいかない場合もあります。

収録において、事前に催眠をかけて被験者の反応を見るような時間が与えられることは稀(まれ)です。一々、全てを調べることは時間がかかり過ぎて大変なんですよ。

そんなことを出演者全員にやっていたら余分に2時間も3時間もかかってしまいます。また、どんなに丹念に調べた所で実際にはその時々で反応は異なるのです。被験者のその時の感情や気分、周囲の環境や状況次第で反応はコロコロ変わってしまうこともあります。

いつも誘導の直前に何時間かスケジュールの調整が行えるなら問題はありませんが・・・。枠組みがギリギリだったり、有名なタレントさんや芸能人が参加者の場合そうはいかないでしょう。本番直前まで会えないことビデオ映像だけをみて見切り発車で企画をスタートさせたこともある。

実際に本番のほんの数分前までよくかかったのに、本番が始まった途端、かからなくなった例もあります。難しいでしょ?

事前催眠とはね、収録においては安全策だと考えればいいでしょう。失敗を起こさないようお互いが心の準備をして安心感を高め、練習をすると思えばいいのです。

動揺する人もいます

ただし、あくまで練習は練習です。本番とは違う。

事前にどんなに反応を確認してあっても、本番になるとまた違うんですよ。それを何度か経験した私は、今ではテストこそ行いますがあまり事前催眠にこだわらなくなっています。

相手は素人です。

急きょ収録に呼びつけられ、いきなりスポットライトを浴びせられ、カメラクルーが大勢してカメラが回っている状況の上に、自分が以前から憧れていてテレビでよく見かける「有名なアイドルタレント」(笑)が出てきて「こんにちは!」とにこやかに笑ったとしたら、それだけで舞い上がってしまう人もいます。

普通の収録ならそれはそれで面白いし、その驚く顔やギャップが映像に出来る。

ところが、催眠の収録においてはそれでは困るんです。

私は元が素人ですからその気持ちもわかるんですけどね(笑)。一旦、動揺や緊張が高まると思ったような反応はなかなか起こりません。

スタッフや関係者はやはり映像にかかわるプロですから、毎日収録にかかわっています。どこでどんな人、誰に会おうと一々驚いたりはしないでしょう。ですから始めて収録に参加する一般人や催眠を始めて体験する被験者の驚きや感動、緊張がわからない場合もあります。

V6のメンバーには収録当日、それも直前になってからしか会えません(笑)。事前に会ってしまえばインパクトが弱まりますし、新鮮な感動や驚きが伝わりません。それでは映像的にもおかしいでしょう。

ですから、ギリギリまで伏せておいて直前で引きあわせるようにスタッフが配慮しています。

おかしなことに催眠の収録の場合、それが原因になって相手が緊張したり動揺し、うまくかからない、または事前催眠より「かかりが浅い」などといった反応も起こるんですよね(笑)。

コギャルは素直じゃありませんからね。V6や森田君などの熱烈なファンであっても、それを言うのは恥ずかしいと思う人もいます。色々と隠している人も多いんですよ(笑)。

直前というか本番になってそれが表面化してしまい、真っ赤になって緊張するような人もいて収録においてはかなり苦労はしますね。

人間の心は複雑です。

ハ、歯ブラシ?

今回の収録でも思いもしないハプニングがありました。

「歯ブラシが~、歯ブラシがいけないの~」

今回の放送分の収録の途中から、参加してくれた被験者(カップルの片割れ、コギャル)がワンワン泣き始めたのです。

私にもスタッフにもその理由がまったくわかりませんでした。おかしな内容の暗示などは追加していませんし、事前に確認しておいた内容以外はまったくやってなかったのです。なぜ泣き出したのか理由がわかりませんでした。まして理由が歯ブラシでしたから。

「ハ、歯ブラシ~?」

「ヒー君が、ヒー君があたしの歯ブラシの置き方が汚いって怒んの~」

通訳しますとこの意味はですね、収録を行う直前、前日の夜にですね、いつもは「ラブラブ」な筈の二人がコップに立てた「歯ブラシの並べ方」から大げんかをやってしまい、仲が悪くなったらしいのです。だからそれが私達収録スタッフに何の関係があるというのか・・・。

これには参りました。

事前に私がスタッフと面談を行い、テスト催眠と反応の検査をやった時はね、まったく何の問題もなかったんですよ。

その時にスタッフの一人が「彼氏に見えますよ」との暗示を行っても、彼女は嬉しそうに「ヒー君、ヒー君」って言ってましたから。

ところが、撮影直前、前日の深夜になって大げんかです。

ですから、催眠を用いてお父さんが「彼氏に」見えた途端に泣きが入ってしまい、私達の言葉などまったく聞いてくれません(笑)。要するに前日の大げんかで彼氏が出て行ってしまい会ってなかったと。その彼が「催眠で」現実のように見えるお父さんと重なって見えて、収録どころでは無くなった、と。

途中からは誘導中に「彼氏」って単語が入っただけで、「ヒー君~・・・、ヒー君・・・。」と泣くばかりです。どうすりゃいいのかわからない。

こんなモン、正確に予測できる筈がありませんよ。彼氏と喧嘩したことそのものをスタッフにも私にも言わなかったのですから。情報がなければ対策も何もありませんよ。わかんないですもの。

「おいおい、勘弁してくれよ~」

が、当時現場にいた全てのスタッフの感想でしょう。

まして原因が「歯ブラシ」ですからね~(笑)。

疲れました。

催眠なら何でもできる?

人にはそれぞれ個性があります。

催眠を何かの便利なマニュアルだと捉え、一定の方法を用いれば「簡単に意識を失う」と考えるような愚かな人は後を絶ちませんが、そんな簡単なものではありません。その時々のケースによって被験者の反応は違いますし、その時々によって方法や手法を選ぶ必要があります。

タイミングも重要なんですよ。精神的な動揺が起こっている人に強引に催眠を行っても思ったような効果は得られません。

催眠は本来、催眠「術」ではなく催眠「誘導」と書くんですよ。そちらの方向に「導く」と書きますが、強引に何でもできるという訳ではありません。

方法がまったくないとまでは言いませんが、まともな施術者ならその人の感情や立場をないがしろにして強引に誘導を推し進めることはしませんよ。

スタッフや一部の関係者は現場で「催眠で何とかできませんか?」と何度も言われました。こういった番組の収録では「神」に近いプロデューサーからも直接、私の携帯にお電話を戴きましたがそうしようもありません。

本人の動揺が酷過ぎて収まらないのです。

ダメなものはダメなんですよ。何とかできるならとっくにやってる。それに私は「撮影さえできればなんだっていい」という対応を嫌います。無理をすれば危険が伴いますから責任が負えなくなる。

催眠に関する番組で集団で収録を行うケースが多くなるのは、そういった突発事故を嫌うためでしょう。最初から特定の一人に絞ってしまえば、その人から反応が得られないとか、精神的な動揺からトラブルが生じた時に逃げ道がありません。

複数の被験者を選んでおけば、現場で変更が可能になるからです。

今回の場合はしばらく時間を置き、彼女が落ち着くのを待ってから後半部分を撮ることになりました。

結局は「ぶっつけ本番」(笑)

実際にはね、後半が収録されたのは「別の日」なんですよ(笑)。気がついた人いましたか?

面倒ですしねー。手間なんですが、仕方ありません。

技術、美術スタッフやタレントさん、ディレクターや私としても時間の制約がありますし、一気に撮影を終えて帰りたいのは山々なんですが、被験者本人の気分が悪いとか調子が悪いなら強行はできません。

落ち着かせるために時間を置いたり、延期するのはお互い非常に勇気がいったんですが、仕方ありません。当初は「皆が快く」とこのコーナーに書いたのですが、実際には渋々、被験者が落ち着くための時間をとってから撮り直すことになりました。

催眠の番組の収録ってね、結局やってみないとわからない部分が多くて大変です。結局はぶっつけ本番と変わらない。スタジオで集団催眠やってた時のほうが気楽っていうか、楽な誘導になりますね。

今回の放送で坂本君が冒頭「やっぱり難しいみたいですよ」といったのは嘘ではありません。私の顔色がすぐれずに困っていたのは演出じゃありません。真っ青だったんです。被験者がそこまで動揺さえしなければ、そのまま終わった筈の内容なのですが・・・。

事前に会議や打ち合わせに参加した際、「幻覚を見せることも可能ですよ」と言ったのは、確かに私ですが、「お父さんを彼氏に見せて、普段の生活や彼氏との関係などを聞いてみよう!」などと無茶を言い出したのはスタッフです(笑)。

私としては言った言葉がすぐに収録になるとは思っていなかったので。

甘かったですね。お笑い芸人が迂闊に危険なロケを承認してしまったのと同じです。いきなりハードルがあがって難しくなってしまった。本当にすぐやる気になるとは思ってもみなかったので・・・。

自分から言い出してしまった以上、逃げ出したり、降りる訳にはつかない。

幻覚系で他人とのすり替え、それも父親と恋人を入れ替えると決まったのはいいですが、「こんな難しい誘導が本当に成功すんのかな?」と不安になったのは間違いありませんね。

※前回放送分(お父さんが友達になる 8月1日放送分)は、放送上の都合により「後」で収録しています。実際には一度、幻覚系催眠において成功を収めていますから、多少は私にも心理的に余裕がありますが、今回はそうではありません。

実際には今回分の収録が「前」になりますから始めての挑戦になるんですよ。難しいことに挑戦しようとした途端、「歯ブラシ」トラブルです。そりゃ顔色も悪いわ・・・。

後でオンエアを見ると私が緊張しているのが、ヒシヒシと伝わってきますな(笑)。

やーっと終わった・・・

コギャルの部屋って、独特の匂いがあります。

コパトーン(?)っていうか、ココナッツオイルの匂いっていうか・・・。髪を洗うためかお化粧品か日焼けサロンで日焼けするためかどうかはわかりませんが、サンオイルの匂いがムンムンしていて、現場にいると頭がクラクラしました。

彼女達は何であの匂いの中で毎日、生活して平気なんでしょう? 普通の人なら長時間いれば本気で吐きそうになります。コパトーンと他の香水とか化粧品とかマニキュアの匂いが交じり合ってます。

いつも使っているオイルだから安心するんでしょうかね?

他のコギャルの場合、そこまで強い匂いはしなかったんですけどねー。コギャルの中には日焼けじゃなくてファンデーションで茶色い肌の色をつけてる人も大勢います。

どこへ行っても多少は同じような薫りが漂っています。森田君が他の収録であちこちの家にお邪魔する場合にも同様の薫りがするそうで・・・。「コギャルはどこの家も同じ匂いがする」って言ってました。

いやはや。

その後、収録は終了しました。今度は上手くいった。無事に収録が終わった時はスタッフ一同、ホッとしました。もちろん、私がもっともホッとしました。

(このまま泣きやまなかったり、同じような反応しか出なかったらどうしよう・・・)

と思ったからです。

やっぱり悲しい映像って欲しくないでしょ? 楽しくて明るい映像なら欲しいと思いますが、女の子がワンワン泣いている映像を見せられればあまり気分はよくありません。催眠現象が「ある」との証明や宣伝にはなるかも知れませんが、ある種の怖い映像やイメージに近寄ってしまいます。それでは番組の趣旨に反しますし、私の掲げる「楽しい催眠術講座」にも一致しません。

結果としては彼女が彼氏と仲直りした途端、「ヒー君 Love Love♡」になってしまっていて驚きました。あまりの極端さに私は思わず笑ってしまいました。

収録の途中の反応から結果を心配していた私やスタッフ、関係者としては被験者のあまりの変わりようにちょっと腹が立ったくらいでしたね(笑)。これまでの反応、苦労はいったい何だったんだろう? と不思議に思いましたよ。

「最初からそれで行ってくれよ・・・。お願いだから」

まあ、フィクションでない分だけ、そういった事件(?)も起こる訳ですね。

仕方ないですか。

温かな映像に見える

やっぱりご家族が出て下さるのはいい感じですね。

いつものように内容についてはバッサリ編集はしてありますが、(私個人としては)今までみたものより、何となくいい感じがしました。お父さんのお人柄がよく滲んでいて嬉しい感じがします。

いつもと同じ人が編集をかけたのではないようにさえ思える映像でしたね。

お父さんの「いっぱいいっぱい」な感じや、戸惑いながらも自分の娘と話ができて嬉しそうな感じ、彼氏とかの話が出てきた時の複雑な表情は、見ていて感慨深いものがありました。

男親としての複雑な心境、娘を応援してやりたいんだけど他の男にくれてやるのは嫌な感覚が滲んでいてとても温かな気持ちになれました。

お互い仲が決して悪くはないんでしょうが、やはり男親です。疎遠というか普段はあまり娘とコミュニケーションがとれていないんでしょうね。それがお父さんとしては寂しくもあるんだと思います。

催眠を解いた途端、「何してんの? 入って来ないでよ!」とコギャル(娘)が言ったのは、普段、親(特に父親)を自分の部屋には入れたことがない証明でしょうね(笑)。

お父さん、娘の部屋の中に入ったのは久しぶりらしいです。

優しいお父さんでしたよ。

このコーナーに出て戴いたご家族やお父さんは皆、理解がありますね。

できれば映像が今後もお父さんとお子さんが一緒に楽しく見られるような明るい内容になればいいですけどね。今回の映像は私の好みでした。

次回の「学校へ行こう!」は?

収録は毎回、だんだんハードルが高くなっています。

まあ、参加した時点から多少は覚悟してたんですけどね。はっきりいって難しい。私は今後、このコーナーがどうなるのかを心配します。

残りあと3本の収録が終わっています。これからは二週に一回のペースで流されると思いますから、とりあえず9月の半ばくらいまでは流されるでしょう。

4月から参加していますから、ほぼ半年ですね。

それ以降は未定です。

すでに秋のスペシャルでも「サイキック教師」をやろうかって話があるらしいですが、これは今後の展開次第なのでどっちに転ぶかわかりませんね。

大丈夫ですかね~?

私としてはもっとこう気楽にっていうか、楽しく遊べるような内容に傾きたいですね。

そういった意味では今回も面白くて楽しいだけの収録の筈だったんですが・・・。 事前にチェックは何度もしましたし、なぜ毎回、こんなに色々あって苦労するんだろうと不思議です。もっと簡単に終わる筈だったのに・・・。

すべては「歯ブラシ」が悪いんです。

次回の放送は8月の29日になる予定です。事前に行われるスタジオ収録の模様は、私もスタジオで確認するつもりです。(放送日はその後、大幅に変更になりました)

次回は面白いですよ。今度は坂本君が大活躍です。

私は坂本君のキャラクターが好きですねー。森田、坂本のコンビで収録を行う時が一番、面白い。森田君がリラックスして収録にのぞんでいるのがわかります。V6のメンバーとは色々、話をしますよ。皆、興味津々でなぜか、とても熱心です。収録が終わってからも、時折、催眠や心理学の話をしてます。

収録の合間に、長野君と森田君に簡単な誘導と面白い心理テスト教えました。今ごろ周囲に試していることでしょう(笑)。あまり無茶しないように。

更新を楽しみにして下さる方は、また遊びに来て下さい。次回の放送をお楽しみに。

※このコーナーの掲載は出演当時に番組関係者から許可を得た上で行っています。関係者各位の寛大な対応、ご好意に感謝します。なお、読みやすくするため一部加筆修正しています。内容の転載、流用を固く禁じます。

2000年08月14日 初稿

2009年12月19日 加筆、修正

谷口信行

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